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Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

2016年音楽年間ベスト

   1位はお約束ということで。今年出たシングル、どれも最高だったのでどれでもいいのだけど、とりあえず最初のシングルにした。以下の順位はあまり数を聴けていないのでよく聴いた作品を羅列した感じに。

 

1位 花澤香菜透明な女の子

花澤香菜 『透明な女の子』(Music Clip Short Ver.) - YouTube

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2位 Car Seat Headrest 『Teens Of Denial』

 Car Seat Headrest - "Drunk Drivers/Killer Whales" - YouTube

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3位 yumbo 『鬼火』

 yumbo / 悪魔の歌 (The Devil Song) by 7e.p. | 7e P | Free Listening on SoundCloud

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4位 David Bowie『 ★ (Black Star)』

 David Bowie - Lazarus - YouTube

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5位 青葉市子『マホロボシヤ』

 青葉市子 - ゆさぎ マホロボシヤ MUSIC VIDEO short ver. - YouTube

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6位 PIXIES 『HEAD CARRIER』

 Pixies - Tenement Song (Official Video) - YouTube

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7位 Frankie Cosmos『Next Thing + Fit Me In』

 Frankie Cosmos "Young" Official Single - YouTube

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8位 BABYMETAL『METAL RESISTANCE』

 BABYMETAL - KARATE (OFFICIAL) - YouTube

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9位 Japanese Breakfast『Psychopomp』

 Japanese Breakfast - In Heaven (OFFICIAL VIDEO) - YouTube

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10位 Ice Choir『DESIGNS IN RHYTHM』

 Ice Choir - Unprepared - YouTube

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   取り急ぎまとめてたけど、2016年終わってしまっていた。あと、2016年に実際に1番よく聴いたのはTHE COLLECTORSのBOXセットだった気もする。それともうランキングには入れなかったけど、相変わらずテニスコーツ関連が量産されていて、どれもトップ10クラスのクオリティだった。

 

 

2016年映画年間ベスト

    なんか一位以外はどれも面白いけど、ズバ抜けて傑作だ〜という印象は無くて、何をランクインさせてもOKだとは思いつつ選んでたら殆ど日本映画になってしまった。

 

1位『この世界の片隅に


   非の打ち所がないほどの傑作だがちゃんと風通しの良さも保っていて、迷い無く1位に選んだ。

 

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この世界の片隅に (2016・日) - yudutarouログ

 

2位『クリーピー 偽りの隣人 』


   今年はどんよりした日本製犯罪映画の傑作が多かったが、中でもテーマ、演出、エンタメ性で突出していた。

 

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クリーピー 偽りの隣人 (2016) - yudutarouログ

 

3位『レヴェナント 蘇りし者』


   スクリーンで観る体験としては今年1番映画的だった。

 

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レヴェナント 蘇えりし者 (2015) - yudutarouログ

 

4位『君の名は。


    次のゴジラ同様に消費され過ぎて個人的脳内評価は下がりまくっていたが、冷静に思い返すとやっぱりアニメーションとして素晴らしかった。

 

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君の名は。 (2016) - yudutarouログ

 

5位『シン・ゴジラ


    公開前、やるなら怒りのデスロード方式しかないんじゃないかと思っていたらホントにそんな映画だったので楽しかった。

 

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シン・ゴジラ (2016) - yudutarouログ

 

6位『リップヴァンウィンクルの花嫁』


   岩井俊二の美意識と狂気を堪能した。

 

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リップヴァンウィンクルの花嫁 (2016) - yudutarouログ

 

7位『の・ようなもの のようなもの』


   まさかの続編で、しかも納得と感動の出来だった。

 

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の・ようなもの のようなもの (2016) - yudutarouログ

 

8位『ちはやふる 下の句 』


    『上の句』と合わせて楽しい作品だった。

 

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ちはやふる 下の句 (2016) - yudutarouログ

 

9位『あやしい彼女』  

 

    多部ちゃんのアイドル映画として満腹だった。

 

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あやしい彼女 (2016) / 怪しい彼女 (2014) - yudutarouログ

 

10位『貞子vs伽倻子』


    ゴジラやスーパーマンが生真面目にやってる横でバーサス物としての醍醐味を味あわせてくれて楽しかった。

 

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貞子vs伽椰子 (2016) - yudutarouログ


   スピルバーグやタラが『ブリッジ・オブ・スパイ』や『ヘイトフル・エイト』で凄みを見せてくれていたり、『葛城事件』の新井浩文のことは未だに頭から離れんかったり、アニメで言えば『聲の形』も良かったなーとか、『イレブン・ミニッツ』や『ドント・ブリーズ』も楽しかった、とか色々あるが、時間もないことだし(ただいま大晦日で嫁の実家)、今年はこんな感じで。しかし見逃した作品が多過ぎたよ。

ドント・ブリーズ (2016・米)

    産業が衰退し、寂れ果てたデトロイト。幼い妹を連れて町を脱出する為の資金を得たいロッキー(ジェーン・レヴィ)と、彼女に想いを寄せるアレックス(ディラン・ミネット)、ロッキーの恋人マネー(ダニエル・ゾヴァット)の3人は現金を狙わないポリシーで盗難を繰り返していた。しかし娘を交通事故で亡くして得た巨額の示談金を持つという退役軍人で一人暮らしの盲目の老人(スティーヴン・ラング)の情報を得た彼らはそのポリシーを捨ててこれを最後の犯罪にする覚悟でその老人の家に侵入する。しかしその老人は彼らの想像を超えた恐るべき人物であった…。監督:フェデ・アルバレス、脚本:ロド・サヤゲス、撮影:ペドロ・ルケ、プロダクション・デザイナー:ナーマン・マーシャル、音楽:ロケ・バニョス、製作:サム・ライミ

 

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    じわじわと狭い屋内を見せて恐怖を煽るのではなく、そこに何かがあったら怖いと思わせつつもそこに何が写り込んでいるのか目を凝らさざるを得ないように縦横無尽に途切れることなく屋内を移動し続け、同時に間取りやこれから邸内で活躍するであろう小道具まで紹介していくカメラが凄いし怖かった。

 

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   ラストベルトに位置するデトロイトの風景、貧困、子供へのネゴレクト、帰還兵のPTSDと時代背景を取り入れた設定で現実味を増加させているのも効いていた。別に社会的意識が高いから偉いという話でなく、時代背景を取り入れることで物語のバックボーンにリアリティを与え、あり得ない状況に真実味を増加させて、より恐怖を感じさせてくれているという意味で。ポリティカル・コネクトネス的に言えば盲目のおじさんの顔面を恐怖の対象にしている時点でアウトだけど。

 

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    物語の岐路には主人公たちの選択によって運命が決定されていく場面が用意されていて、非道い話ながら欲が破滅へと導いていく道徳的な展開になっているのも映画に普遍性を与えていた。

 

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    何よりも秀逸だったのは盲目のおじさんを演じるスティーヴン・ラングの筋肉のつき方、顔面の造作、動き方がことごとく役にハマっていたことかも。同情を感じさせる境遇にありながら見ているうちにそういった人間的情感から断絶された狂気の世界へと観客を牽引していく強烈さを見事に体現した狂いっぷりだった。それもあって盲目のおじさん(+犬)だけなのにちゃんと怖い映画に仕上がっていて存分に楽しませてもらえた。

 

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映画 『ドント・ブリーズ』 予告 - YouTube

 

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ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー (2016・米)

   遠い昔、遥か彼方の銀河系。銀河を支配しつつある帝国軍は超兵器「デス・スター」を完成させる為、逃亡していた開発責任者ゲイレン・アーソ(マッツ・ミケルセン)を探し出し拘束するが、一人娘のジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)は難を逃れ、ゲイレンの同志で過激な反乱軍リーダー、ソウの元で育つ。そして時は流れ、成長したジンは帝国の囚人となっていたが、彼女を通してソウと接触しデス・スターの情報入手を目論む同盟軍によって救い出される。ジンは同盟軍の汚れ仕事を請け負うキャシアン・アンドー(ディエゴ・ルナ)や馬鹿にされながらも失われて久しいフォースを信じる僧侶チアルート・イムウェ(ドニー・イェン)らとともにソウへの接触を図るのだが…。監督:ギャレス・エドワーズ、原案:ジョージ・ルーカス、脚本:クリス・ワイツトニー・ギルロイ、ストーリー、製作:キャスリーン・ケネディ、製作総指揮、視覚効果スーパーバイザー:ジョン・ノール、撮影:グレイグ・フレイザー、プロダクション・デザイン:ダグ・チャン、音楽:マイケル・ジアッキーノ。

 

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    基本的にはスター・ウォーズの世界観を使って愚連隊物の戦争映画をやってみたという形なんだけど、ハズレ者たちが愚連隊を組む過程を丁寧に描いていないので、遂に決死の任務に挑む、という盛り上がるべきポイントに到達しても、「ちょっと待って!まだそんなにあなた達に愛着湧いてないんですけど!」ということになっていて乗りきれなかった。主人公のジンを始め愚連隊「ローグ・ワン」の面々醸し出すムードは好きだっただけに勿体無いなー、と感じた。

 

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    で戦闘の描写も血が吹き出し手足が飛ぶような表現を省きつつの戦争映画に寄せた描写で、それが半端に生々しくて映画の楽しみ方の立ち位置がよく分からなくなって戸惑ったのに加えて、全体的に迫力に欠けた構図が多かったのも残念だった。

 

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    チャンバラ要素を一身に背負ったドニー・イェンはカッコ良かったが、彼が活躍するほどにスター・ウォーズらしさ、SFらしさから離れていくジレンマも感じて、ライトセーバーとそれを使った牧歌的とも言える剣術戦がいかにスター・ウォーズスター・ウォーズたらしめているのかを再認識したりもした。

 

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    単にミッションを機械的にこなしていくだけのロールプレイングゲームのような単調なプロットも退屈だった。よく考えると正伝も似たようなものだが、あちらは一応キャラクターが各地に散らばってそれぞれのミッションを並行的に見せていくことで単調さを回避しているので、今作の一本調子は余計目に付いた。

 

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    一番不満だったのは今作が物語として閉じていて、〈続いていく物語とキャラクター〉というスター・ウォーズの魅力が感じられなかった点で、前日譚という構造上仕方のない部分もあるし、希望を繋ぐという理念的な繋がりがあったりはするのだけど、今回活躍した名もなき戦士たちがせっかく名前も付いて立体的に存在を始めたのだから、彼らがエピソード4の裏側でもずっと戦い続けていたという妄想をさせてくれるぐらいのサービスはあって良かったんじゃないか。ちなみに僕のしたかった妄想は、多大な犠牲の上でデス・スター設計図を奪取したローグ・ワンの面々はその後も各地で熾烈な地上戦を戦っていたが、ある時、空を見上げたジンの目に彼方で爆散するデス・スターの光景が飛び込んでくる。戦いが報われたことを知って涙するジンやアンドーとともにゲイレンやチアルートの霊体が微笑みながら空を見上げている…という感じ…。そんな妄想したかった〜、っていうかしているからいいのか。

 

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    あとフォレスト・ウィテカーが演じていた反乱軍のリーダー、ソウ・ゲレラの扱いが勿体無さ過ぎた。彼の率いる軍団自体がせっかく正規の同盟軍とは別仕立ての対帝国グループというのに、ほとんど意味のある役割を与えられずに消えてしまうのというのが勿体無いし、こういう跳ねっ返り達が同盟軍と合流してそこからローグ・ワンに志願していく流れだと燃えたと思うのだが。そしてソウ自身の役割にしても、ジンとの関係性を会話でサラッと流すだけなので、再会と別離がドラマとしての盛り上がりに欠ける上に、育ての親という設定はジンと父親の話という本筋を薄める効果になってしまっていると思った。

 

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    他のキャラクターでは、ジンのお父さんのゲイレン・アーソはマッツ・ミケルセンがやってるわりに印象薄かった。マッツ・ミケルセンはカッコいいけど悪い顔なので敵役のほうが良かったか。
    ロボのKー2SO(アラン・デュディック)は良かった。純朴なキャラクターが健気さで感動させるのは反則気味とも思ったけど。
   クリニック長官(ベン・メンデルスゾーン)の小悪党ぶりとゲイレンに対して友情めいたものを感じさせる微妙な立ち位置は外伝の悪玉としてちょうどいい感じで好きだった。
    亡命して同盟に情報を伝えるパイロット、ボーディー・ルック(リズ・アーメッド)は途中、ソウの拷問でフヌケにされるのだが、それがどこからどこまで続いているのか、それとも元からフヌケキャラなのかよく分からなくて困った。
    ドニーさんの相棒ベイズ・マルバス(チアン・ウェン)はいい味出してた。
ターキン総督はCG凄いなーとか感心しつつラストのあの方の登場でやっぱりCG気持ち悪いぜとか思ったりしたのたが、どちらも役者が演じていたみたいでそれはそれでびっくりした。役者に演じさせてCG処理したということなのかな。ここら辺はよく分からなかった。誰か教えて欲しい。

 

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    などとクドクドと主に不満を書いてしまったけど、色々妄想させてもらえたし、外伝としては十分に楽しませてもらったから、これからもサイドストーリーお願いします、というのが最終的な感想だったりはして、結局嫌いじゃない…。

 

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「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」予告 希望編 - YouTube

 

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猫の恩返し (2002・日)

    車に轢かれそうになった猫を助けた女子高生のハル(池脇千鶴)は、その猫が言葉を話す不思議な猫たちの国の王子(山田孝之)だったことから、その「猫の国」の国王(丹波哲郎)からありがた迷惑な恩返しを受けることになる。困惑しつつも猫のお礼を受けていたハルだったが、遂に猫の国へ招待されて王子の妃にされることになってしまう。そんな時、不思議な助言に従って「猫の事務所」を訪れたハルは猫の男爵バロン(袴田吉彦)と大猫のムタ(渡辺哲)に出会う。彼らはハルへの手助けを申し出てて、ハルは彼らとともに猫の国へ乗り込むことになるのだが…。。監督:森田宏幸、原作:柊あおい、脚本:吉田玲子、キャラクターデザイン:森川聡子、作画監督:井上鋭、美術監督:田中直哉、音楽:野見祐二、アニメーション制作:スタジオジブリ

 

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    びっくりするぐらい何のひねりも無い物語で、現実と異界(猫の国、猫の事務所)との境界も雑過ぎるし、有名俳優を充てた声優(特に男優陣)の聴き取りにくさも辛かった。少女の成長譚みたいなところに着地させたい雰囲気を出してはいるけど全然納得いかないのも凄い。せっかくの「耳をすませば」のスピンオフなのに。

 

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   まず作品に登場する「猫の国」が、なぜか絶対王政ファシスト政権になっていて、どちらかと言えば犬的指向が色濃く、猫の生態や特性が全く反映されていないのが謎だった。わざわざ「猫の国」の外側にはぐれ猫や猫もどき(バロン)を配置しているのだから「猫の国」に「猫らしさ」を取り戻す話とかにすれば良かったのに、そこらへんには全く触れてこない。これでは何で猫たちの物語にしたのか分からず、世界設定へのこだわりが見えなかった。

 

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    あと物語の核に主人公の成長譚みたいなものがあるのだが、人(猫)助けをした為に迷惑を被り、猫なんか助けなきゃ良かったという感情を抱いた主人公が、助けた猫に助けられることで「やっぱり助けて良かった」「人(猫)助けは大切だ」と思い直すという流れになっているのは、「善意は見返りがあるから大切」みたいなおかしなメッセージになってしまっていてどうかと思った。さらに憧れるだけで声もかけられなかった同級生の男の子に対する感情も、猫の国での冒険を経て猫人形バロンに惚れたというのもあって現実に戻ってきたらどうでもよくなっているのだが、それだとファンタジーで満足したから現実の男はもういいです、みたいなことになっていて、現実に立ち向かわなくていいの?という気になった。気持ちは分かるけど。

 

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   なので全体としては、癖のある絵柄は好きだったし、作画もちゃんと劇場版のクオリティだったけど、脚本や演出がどうこうというより、大元のプロットに問題があるような気がする作品だった。

 

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The Cat Returns Trailer / 猫の恩返し 予告編 - YouTube

 

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五日物語 3つの王国と3人の女 (2015・伊・仏)

    架空の3つの王国の物語。ひとつめの国では、不妊に悩む女王(サルサ・ハエック)が「海の怪物の心臓を生娘に料理させて喰らえば子を授かる」という怪しげな男の進言に従い、国王(ジョン・C・ライリー)の犠牲の末にそれを実行し、王子エリアス(クリスチャン・リーズ)を得る。しかし調理を行なった下女もまたジョナ(ジョナ・リーズ)というエリアスと瓜二つの息子を授かっていた。
もうひとつの王国では娘である王女(べべ・ケイヴ)の成長を受け入れられない国王(トビー・ジョーンズ)が巨大なノミを密かに寵愛していたが、その末に王女は数奇な運命に見舞われていく。
また別の王国では好色な王(ヴァンサン・カッセル)が城下から聴こえた美しい歌声の主を何とか手にしようと画策していたが、声の主は姉妹であるインマ(シャーリー・ヘンダーソン)とともに世間から隠れて住まう醜い老婆のドーラ(ヘイリー・カーミッシェル)であった…。監督:マッテオ・ガローネ、脚本:エドゥアルド・アルビナティ、ウーゴ・キーティ、マッシモ・ガウディオソ、撮影:ピーター・サシツキー、音楽:アレクサンドル・デスプラ

 

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    欲望や嫉妬、冒険や妖しげな怪物、悪趣味とグロテスクが渦巻いた教訓や道徳に着地しない剥き出しのままの「おはなし」を、絵画のような美しい画面とリアリティで堪能させてくれる贅沢な作品で「物語」が持つ原初の楽しさに満ちていた。

 

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    アルビノの美しい双子のような王子と少年、醜い老姉妹、好色な王、海底に潜む怪物、山岳に住まう鬼、巨大なノミを寵愛する王、それら突拍子も無いキャラクターたちがとことんリアルに描かれていて、滑稽であると同時に切実で、不思議な世界にどっぷりと浸らせてくれる心地良さがたまらなかった。

 

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    女王役のサルサ・ハエックは顔面に美しさと信念に満ちた怖さがあって凄かったし、若返ったドーラを演じたステイシー・マーティンもこれなら魔法で綺麗になったとしても納得の美しさだったが、一番良かったのは海底の怪物と山岳に住まう鬼、それと巨大ノミだったりして、怪獣映画としても楽しかった。なんだが久々に作り物としてのストーリーの醍醐味を楽しませてもらえた作品だった。

 

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おとぎ話「ペンタメローネ 五日物語」を基にしたダークファンタジー!映画『五日物語-3つの王国と3人の女』予告編 - YouTube 

 

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シンプル・プラン (1998・米)

   妊娠中の美しい妻(ブリジット・フォンダ)とともに田舎町で慎ましい生活を送っていたハンク(ビル・パクストン)は、定職を持たない兄ジェイコブ(ビリー・ボブ・ソーントン)とその悪友ルー(ブレント・ブリスコー)との同行中に雪深い禁猟区の中で墜落した自家用機を発見する。自家用機の中には遺体と440万ドルの現金が残されており、ハンクは通報を提案するが、兄とルーに反対される。腹を決めたハンクは自分が暫く全額を隠し持ち、安全が確認出来れば三等分して町を出るという単純な計画を立てるのだが…。監督:サム・ライミ、原作、脚本:スコット・スミス、撮影:アラー・キヴィロ、音楽:ダニー・エルフマン

 

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    雪に覆われた田舎町を舞台に分不相応な犯罪に手を出した小市民的キャラクターが雪だるま式に悪化する事態の中で右往左往するという、シチュエーションもストーリーもコーエン兄弟の映画みたいだがサム・ライミの作品。友達だから相互影響あるのかなとも思ったが、どうなんだろう。

 

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    ただそれぞれのキャラクターへの意地悪な掘り下げというのはあまり無く、コーエン兄弟作品みたいな嫌な味わいは薄め。その代わりにカラッと普通に物語を楽しめるような面白さはあった。飛行機の中で発見する遺体の描写などにサム・ライミらしさがあったかな?あとブリジット・フォンダがやっぱり綺麗。 

 

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A Simple Plan - Trailer - YouTube 

 

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