yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

Mount Eerie / A Crow Looked At Me

    感情をそのままにアコギで弾き語ったシンプルな作りのようで、繊細なアレンジでピアノなどを織り込んだ緻密さ。その上で喪失の感情を物語にすることなくそのまま音楽にしてあって、一度聴きだすとその世界に深く入り込んでしまうような、喪失を再生や癒しの物語にして感動させるような作品群と一線を画す本気でエモーショナルなアルバムだった。

 

"Ravens" by Mount Eerie (official video) - YouTube

 

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発売日 2017/4/15

収録楽曲
1. Real Death
2. Seaweed
3. Ravens
4. Forest Fire
5. Swims
6. My Chasm
7. When I Take Out The Garbage At Night
8. Emptiness pt. 2
9. Toothbrush/Trash
10. Soria Moria
11. Crow

CHAI / ほめごろシリーズ

     テンション高く過ぎて疲れるのであんまり繰り返し聴けない感じなんだけど、好きな系統のバンドだった。ニューウェーブっぽいけど熱いロックバンドでもある、という。面白い。 

 

CHAI「sayonara complex」 - YouTube 

 

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発売日 2017/4/26 

収録楽曲
1. Sound & Stomach
2. クールクールビジョン
3. ボーイズ・セコ・メン
4. ヴィレヴァン
5. sayonara complex

アングリーバード (2016・米)

    飛べない鳥たちが暮らすバードアイランド。怒りをコントロール出来ないレッドは島の仲間達から浮いた存在で、住まいも街の外れにあって独りぼっちで暮らしていた。そんなある時、島に豚の一行がやってくる。友好的であることをアピールして上陸した豚たちだったが、彼らが何かを隠していると考えたレッドはお調子者のチャック、感情が昂ぶると爆発してしまう厄介なボムという島の外れ者を誘って豚たちが乗ってきた船に忍びこむのだが…。

監督:ファーガル・ライリー、クレイ・ケイティス、製作:ジョン・コーエン、脚本:ジョン・ビッティ、音楽:ヘイター・ペレイラ

 

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    子供と鑑賞。作り手の意図は分からないが、他者には疑念を持って接し、寛容ではなく怒りを持って相対するという行動原理で貫かれたストーリーで、リベラリズムを体現していた同じ動物アニメの『ズートピア』とは真逆のトランプ的感性の作品。その対比が面白いと言えば面白かったが、出来栄えはかなり雑だった。

 

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    アニメーションとしては昨今のCGアニメの平均値という感じ。キャラクターでは主人公の仲間のチャックが高速移動キャラということで動きも含めて楽しかったんだけど、X-MENクイックシルバーの演出と丸被りなのはギャクなのか?

 

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    主人公が悪い豚たちの陰謀に気がつくのは猜疑心がたまたま功を奏したという形なんだが、そこから島民たちの為に献身的に活躍して仲間に受け入れられていく「いい話」に落とし込むというのは無理があるし、卵を盗んだ相手の町を全破壊するひどい話なんだから、主人公は怒りんぼうキャラのわけわからん奴のままでドタバタギャクに徹してくれたらもう少し素直に楽しめたかも、と思った。

 

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映画『アングリーバード』本予告 - YouTube

 

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パーソナル・ショッパー (2016・仏)

    三ヶ月前に双子の兄ルイスを亡くしたモウリーン(クリステン・スチュワート)。兄妹は互いに霊媒師でもあったので、もしも片方が先に死んでしまった時はあの世からサインを送るという約束を交わしていた。パリでセレブのために買い物を代行する「パーソナル・ショッパー」として女優のキーラ(ノラ・フォン・ヴァルトシュテッテン)のもとで働きながら、兄の恋人だったララ(シグリッド・ブアジズ)とともに残された住居を訪れるなど兄からのサインを探し続けるモウリーンだったが、同時にパーソナル・ショッパーとして扱う高額な衣服や装飾品を密かに身に付けるなど自身の欲望を抑えきれない状態に陥ってもいた。そんな中、携帯に彼女の心理と行動を見透かしたかのような不可解なメールが届き始め、モウリーンはそれを亡くなった兄からのサインではないかと考え始めるのだが…。

監督:オリヴィエ・アサイヤス、製作:シャルル・ジリベール、撮影:ヨリック・ル・ソー、美術:フランソワ=ルノー・ラバルテ、編集:マリオン・モニエ、衣装デザイン:ユルゲン・ドーリング。

 

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    シャネルが衣装協力をしていたりカルティエその他高級ブランドが劇中に登場するという前情報でお洒落映画だと思っていたら、冒頭から心霊描写やお化けそのものが出てきて、びっくりすると同時に嬉しくなったが、内容の方も高級ブランドに囲まれたセレブの世界と死者の魂を感じる世界、その双方を等価に描くことで主人公ともども物質/精神世界に引き裂かれ、混沌とさせられて、サスペンスが積み上げられいく奇妙な味わいがあって非常に楽しかった。

 

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    終盤、謎の男からのメールが畳み掛けるように鳴り続け、危険が迫る場面は、急に安っぽいサスペンス演出になっていて、それは差出人不明のメッセージに追い立てられる姿を不在の死者からのサインを待ち続ける姿と相似させることで物質的だろうが精神的だろうが依存しきってしまうことへの滑稽さを浮き彫りにしているように感じた。安手の表現と言えばホラー的な描写も同様で、心霊描写の場面ではわざわざジャンル映画的な演出、幽霊表現をやっていて、セレブ的な物質世界と同様に、形通りの精神世界の見え方というものを批判的に提示していたんじゃないかと思ったが、違うのだとしたら単にノリノリでやってただけかも知れないな…。

 

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    あとセレブの世界を見せたり双子という要素が入っていたりすることで、クローネンバーグ的なムードが漂っていたのも個人的にはポイント高かった。双子の物語としては主人公は禁忌に触れることにしか愛情を抱けない性癖になっていて、双子の兄への執着から考えると既に無くしてしまった者との奇妙で近親相姦的な物語とも捉えることが出来たりして、多層的な味わいを作品にもたらしているように感じた。

 

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    クリステン・スチュワートの演技は初めてちゃんと観たけど、ブランドで着飾らせたくなるスタイリッシュな存在感とサスペンス映画のヒロインとしての不安定さを秘めた立ち振る舞いが素晴らしくて、彼女が画面にいることでシーンが「絵」として決まっている気持ち良さがあった。アサイヤス作品自体も初めて観たんだけど、予想と違うヘンな映画で良かった。やっぱりイメージで観ないのはいけんな、と改めて思い知らされた。

 

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『パーソナル・ショッパー』予告編 - YouTube

 

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ブラッド・ファーザー (2016・仏)

    筋金入りのアウトローでアル中だったリンク(メル・ギブソン)は、現在保護観察中で、断酒のリハビリを受けつつトレーラーハウスで彫り師として静かに暮らしていた。そんなリンクの元に失踪中だった一人娘のリディア(エリン・モリアーティ)が数年ぶりに現れる。リディアは彼氏でメキシコの麻薬カルテルの関係者ジョナ(ディエゴ・ルナ)とトラブルを起こし、組織に追われているのだという。リンクはトレーラーハウスの仲間カーヴィ(ウィリアム・H・メイシー)の制止も振り切りリディアを連れた逃避行へと身を投じるのだった。

監督:ジャン=フランソワ・リシェ、原作、脚本、製作:ピーター・クレイグ、脚本:アンドレア・バーロフ、撮影:ロバート・ギャンツ、プロダクションデザイン:ロブ・ウィルソン・キング、編集:スティーヴン・ローゼンブラム、音楽:スヴェン・フォールコナー、衣装デザイン:テリー・アンダーソン、美術:ビリー・W・レイ。

 

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    傑作『復讐捜査線』を彷彿とさせる父親キャラが『マッドマックス』的バイオレンス世界の中で『リーサルウェポン』的アクションをこなすというメルギブ要素のたっぷり注入されたエンターテイメントになっていて楽しかった。

 

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   本筋以外にもメキシコの麻薬カルテル移民問題など現在を映し出すディテール描写の積み重ねがあって、ジャンル映画ではあるんだけどちゃんと現代的な作品になっているところも良かった。

 

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    メキシコ国境沿いのアレコレや少女とおっさんの逃避行、さらには髭という見た目も含めてちょっと先日公開の『ローガン』と被りまくっていたが、あちらのアクションがミュータントの能力バトルとはいえかなり生々しい暴力だったのに対して、一見リアリスティックな本作のほうは大型バイクにまたがりソードオフ・ショットガンをぶっ放すなどなかなかの荒唐無稽ぶりだった。

 

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   その意味ではかなり全パパの妄想具現化ファンタジーとも言える内容で、当たり前だが世の中のパパの多くはメルギブみたいに最強ではないし、どんな情報でも知っていて何なら問題解決の段取りまでつけてくれるムショの大物や、反撃するための武器などを大量に保有している昔のボス(プリーチャー(マイケル・パークス))などという便利な知り合いもそうそういないし、重度のアル中だった時期には暴力その他で家族にも多大な迷惑と損害を与えているはずのメルギブパパを頼って娘がやってくるというのも虫が良過ぎるだろう、というのはあるんだけど、まあそういう映画なので割り切って楽しめる、そんな作品だった。

 

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ブラッド・ファーザー - 映画予告編 - YouTube

 

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20センチュリー・ウーマン (2016・米)

   1979年、サンタバーバラ。自由奔放で自立した55歳のシングルマザー、ドロシア(アネット・ベニング)は父親不在の15歳の息子ジェイミー(ルーカス・ジェイド・ズマン)の教育に頭を悩ませていた。ドロシアは身近な男性である下宿人で元ヒッピーのウィリアム(ビリー・クラダップ)ではなく、同じく下宿人のアビー(グレタ・ガーウィグ)と、ジェイミーの2つ上の幼馴染ジュリー(エル・ファニング)という2人の女性に教育係を依頼する。ジェイミーは母親のお節介に反発しながらも彼女たちと接することで新しい世界を目にしていく。

監督、脚本:マイク・ミルズ、撮影監督:ショーン・ポーター、編集:レスリー・ジョーンズ美術監督:クリス・ジョーンズ、衣装デザイナー:ジェニファー・ジョンソン、音楽:ロジャー・ニール、音楽監修:ハワード・パール。 

 

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    観客はまばらで、それもほぼエル・ファニング目当てのおっさんのみ(勝手な推測、当方含む)という感じだったがエル・ファニングはちゃんと可愛かった。それで演技も凄いので最強だよ。

 

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    映画自体は監督の自伝的色彩が強い作品らしいのだが、主人公の男の子の自宅は下宿も営み、そこにカッコいいパンク姉さん(アビー)が住んでいて、さらには幼馴染が超美少女(ジュリー)で、夜な夜な添い寝しにやってくるという殆どラノベの主人公みたいな境遇になっていて、なんだそれ、とひがみも浮かんじゃうんだけど、登場人物たちそれぞれを丁寧に描いていて、凄く真摯な作りのいい作品だった。

 

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    音楽の使い方のセンスも良くて、『地方にやってきたパンクムーヴメント」を追体験しつつ時代の空気全体も感じられるような世界の作り込みも見事だった。そこで語られる物語に劇的なことは殆ど発生せず、ただその時代に生きた各世代の女性たちを活写していて、そのことで現代の受け手としては彼女たちの生き様や、やろうとしたことへの敬意も芽生えるし、今もまだ続く抑圧にも思いが向かう。全く説教臭くなくスマートにそれがやれているのはアネット・ベニングを始めとする役者陣の実在感や、少しだけ理想化されているような1979年のサンタバーバラを映し出す画面の美しさなど作品を構成する要素がトータルに結実しているからこそだと思えた。

 

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映画『20センチュリー・ウーマン』予告 - YouTube

 

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LOGAN ローガン (2017)

    突然変異により異能力を備えたミュータントたちの殆どが死滅した2029年。不滅の細胞を持つはずのミュータントでウルヴァリンとして長年活躍してきたローガン(ヒュー・ジャックマン)は衰えた身となり、アメリカとメキシコの国境沿いでリムジンの運転手に身をやつしていた。そんなローガンの元にガブリエラ(エリザベス・ロドリゲス)という女性が現れ、ミュータントの少女ローラ(ダフネ・キーン)をノースダコタまで送り届けて欲しいと懇願する。頼みを断るローガンだったがローラを追う組織の男ドナルド・ピアース(ボイド・ホルブルック)らの襲撃を受けた際、ローラがローガンと同じ能力を持つことを知る。ローガンは匿っていた老い認知症に蝕まれたかつてのミュータントの指導者、プロフェッサーX=チャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)とともに、ローラを安全な地まで送り届ける旅を始めるのだった。

監督、脚本:ジェームズ・マンゴールド、脚本:スコット・フランクマイケル・グリーン、撮影:ジョン・マシソン、プロダクションデザイナー:フランソワ・オデュイ、編集:マイケル・マカスカー、ダーク・ウェスターヴェルト、音楽:マルコ・ベルトラミ

 

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    楽しかった。老眼のローガン(やはり言ってみたくなる)とボケ気味のプロフェッサーXの老々介護漫才を見られるのは長らく作品に付き合ってきた身としてはやはり物凄く楽しい。しかしあまりにも落ちぶれたプロフェッサーXの姿を素直に楽しめるのは番外編、アナザーストーリーという割り切りがあればこそというのもあって、これがX-MEN第一世代(ファーストジェネレーションじゃないよ。ややこしい)の正式な終着点だとするとチョット待って〜という気持ちにはなってしまう。

 

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    まあ、フューチャー&パストでX-MEN世界はパラレルワールドが無数にある何でもありの無敵設定を手に入れているので、どんな話を語っても誰を殺してもやり直し可能という状態ではあるんだけど。なのでウルヴァリン暴力装置ぶりを存分に描いたり、若き日のヒュー・ジャックマンを再現してみせたり、さすらい人で孤高のローガンがミュータントの少女に出会うという第1作のプロットをなぞるような物語の始まりにヒュー・ジャックマンウルヴァリンへの敬意を感じられたりと、ラスト作品として相応しい映画になっていたから良かったのは間違いない。

 

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    ただし、これを持ってパトリック・スチュワートまでプロフェッサーX引退を決めたとか言っているので、その点はちょっと納得出来ない。まあ一回転生(?)してるし、本来『ファースト・ジェネレーション』で世代交代したはずだったのだから、未だにやってくれてたことに感謝すべきかな。しかし引退なら『チャールス』で一本映画作って欲しかったよ。

 

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     メキシコ国境からカナダ国境へ至るロードムービーという現代アメリカの状況を踏まえたプロットや、アクションというよりバイオレンス映画という方がしっくりくる作品のトーンは今迄のX-MEN映画とはかけ離れた別個の作品のようにも見えるが、しかしこれまでのX-MENワールドの諸々からボンヤリと浮かび上がる作品世界のバックグラウンドやキャラクターの関係性があってこその映画になっていたので、子供向けコスプレ映画を否定した侍映画のように思わせておいて実はX-MENリテラシーがないと十分に堪能出来ないという、ちゃんとシリーズファンを裏切らない作りになっていた。ただその暴力性で人々の断絶を表現する為に殺さなくていい脇のキャラクターを殺してるイヤな感じはあったりしたけど。

 

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   あと、ローラ役のダフネ・キーンのアクションや表情がカッコよくて良かったし、初登場から15年以上経ても肉体を維持して、しかも演技派的立ち位置も獲得しているのに未だに懸命にヒーローを演じてくれているヒュー・ジャックマンパトリック・スチュワートの困った老人ぶりも当然良かった。それと今作のバイオレンスたっぷりにウルヴァリンとプロフェッサーXの老齢ぶりを描いたのは、もう第1世代は終わりなんだよ!卒業しなさい!という愛のムチなのかも知れんな、とも思ったりした。

 

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映画「LOGAN/ローガン」予告F - YouTube

 

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