yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

アウトレイジ 最終章 (2017・日)

   裏社会のフィクサー、張会長(金田時男)の庇護の下、韓国の済州島に身を寄せた元ヤクザの組長大友(ビートたけし)。しかし手下が花菱会幹部の花田(ピエール瀧)に殺されたことをきっかけに花菱会と張グループが緊張状態へ突入する。同時期、花菱会内部では新組長の野村(大杉漣)、若頭西野(西田敏行)、若頭補佐中田(塩見三省)らによる権力を巡る暗闘が激化していた。そんな中、過去を清算する機会を窺っていた大友が張会長に助力すべく手下の市川(大森南朋)とともに帰国、事態は混迷を極めていく。

監督・脚本・編集:北野武、プロデューサー:森昌行、吉田多喜男、音楽:鈴木慶一、撮影:柳島克己。

 

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   もはや完成度とかどうでもいいレベルに突入して役者の存在感でいかにキャラを押し出せるかへ特化した凄い映画だった。誰に痺れるか人それぞれで楽しめるようになっていたが、個人的には津田寛治と白竜の張会長組にやられた。しかし主役はほとんど西田敏行だったな。あと刑事役の松重豊の最後のシーンは「孤独のグルメ」ギャグなのか。

 

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   場面によっては「ソナチネ」風のところもあったけど、あの頃の北野映画とは異質で、初期の鋭い感覚で出来上がった作品と似ているとは思わなかった。というか前2作とも全然違うと感じたけど、それは今までになく言葉を前面に出してきたからかな、とも思った。これでシリーズ終了らしいけど、大友に双子の弟がいたことにして是非ともまたやって欲しい。

 

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【動画】映画『アウトレイジ 最終章』予告編 - YouTube

 

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エイリアン コヴェナント (2017・米)

   惑星「オリガエ6」への人類移住計画を託された宇宙船コヴェナント号は航行中にトラブルに見舞われ、乗組員たちは急遽冷凍休眠から目覚めるが船長は死亡してしまう。船長代理のオラム(ビリー・クラダップ)は、謎の電波を発信する事故現場近くの惑星が居住に適しているとして、船長の妻であるダニエルズ(キャサリン・ウォーターストーン)の反対を押し切り上陸して調査することを決定する。しかし惑星に降り立った乗組員とアンドロイドのウォルター(マイケル・ファスベンダー)は未知の生命体の襲来を受けてしまう。そんなダニエルズたちの危機を救ったのは11年前に消息を絶ったプロメテウス号のエリザベス・ショウ博士と同行していたアンドロイドのデヴィッド(マイケル・ファスベンダー)であった。

監督:リドリー・スコット、脚本:ジョン・ローガン、ダンテ・ハーパー、ストーリー:ジャック・ペグリン、マイケル・グリーン、キャラクター原案:ダン・オバノン、ロナルド・シャセット、撮影監督:ダリウス・ウォルスキー、プロダクション・デザイナー:クリス・シーガーズ、特殊効果スーパーヴァイザー:ニール・コーボールド、視覚効果スーパーヴァイザー:チャーリー・ヘンレイ、音楽:ジェド・カーゼル、衣装デザイナー:ジャンティ・イェーツ。

 

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   前作の続きで首だけになったアンドロイド(デヴィッド)とヒロイン(ショウ博士)の宇宙珍道中を期待してたら、『プロメテウス』そのものの続きはあっさりと放棄、『エイリアン』へと繋がる要素と人類起源の探求という、あ、そっちへ行くんだという壮大な話が展開されていて、そのわりに広大な宇宙でたまたまショウ博士たちがいた惑星に都合よく主人公たちの移民船がやってくるなどという同じ町内の話なのかというぐらいのこじんまりとした物語世界がブレンドされたかなり不思議な(おかしな)作品だった。  

 

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    そもそもこのシリーズ、『ブレードランナー』同様に本家を補完して謎を明かしていくことが逆に本家のミステリアスな余白を奪っていくという矛盾を抱えているので(しかもこっちは本人がやっている)、どうせなら『プロメテウス』の物語の続きをやってほしかったというのはあるが、ギーガーのイメージをスケール感を持って具現化した場面は流石だったりして、こういう映像を見せてくれただけでも充分有り難いとは思ったし、ファスベンダー大活躍やホラー描写も嬉しかったのでエイリアン誕生の秘密とか人類の起源とかどうでもいいと思いつつ続きをやってくれたら結局観てしまうんだろうな。

 

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映画『エイリアン コヴェナント』日本版予告編 - YouTube

 

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散歩する侵略者 (2017・日)

    数日間行方知れずだった不仲の夫・真治(松田龍平)が魂が抜けた別人のようになって家へと戻ってきて戸惑う妻の鳴海(長澤まさみ)。しかし生まれ変わったように穏やかになった真治との関係は再構築されていき、2人の間には再び愛情が芽生え始める。同じ頃、とある一家惨殺事件が発生し、その生き残りの少女あきら(恒松祐里)が謎の少年・天野(高杉真宙)と行動をともにしていたが、その周辺では不可解な現象が続発していた。彼らに密着取材を行うジャーナリスト・桜井(長谷川博己)は天野達から自分達が地球を侵略しに来た宇宙人であることを告げられる。一方鳴海も真治から自分が真治の身体を乗っ取った侵略者であることを告白されるのだが…。
監督・脚本:黒沢清、原作:前川知大、脚本:田中幸子、音楽:林祐介、撮影:芦澤明子、美術:安宅紀史、照明:永田英則、編集:高橋幸一。

 

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   小さな町で起こった事件をやり過ぎなほどの演出と音楽でクローズアップしていく前半部分から実相寺回のウルトラセブンのような怪奇ドラマのムードが漂っていて非常に楽しく、普通に今時のSF映画と思って見ていたらなんじゃこりゃ、となる可能性高いし実際に珍品でもあったけど、原作付きでありながらもかなり黒沢清らしい映画になっていて凄く面白かった。

 

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    役者に関しては宇宙人のキャスティングが良くて、とりあえず松田龍平はいつものままで宇宙人だった。他の宇宙人2人、「仮面ライダー鎧武」でいい味出してた高杉真宙は不気味と無邪気さが張り付いたような顔付きで人間以外の存在感が出ていたし、恒松祐里は身体能力の高さに超人感があった。あとちょっとだけ出てきた前田敦子も良かったし、政府の人間役で出てきた笹野高史は「クリーピー」に引き続きの印象もあって、登場の瞬間から笑えた。

 

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   しかし役者で、というより映画として一番良かったのは長澤まさみで、長澤まさみ史上最高だったんじゃないか、と思った。ほぼ全篇ぷんぷん怒ってるだけなのに魅力的というのは何なんだろう。普通の人がイライラ怒ってたら気分悪いのだけなのに。『ツインピークスリターン』のナオミ・ワッツと並んでぷんぷん演技が可愛くて最高だった。

 

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    あと、『リアル』でかなり気合い入れて恐竜作り込んだりしていたからCGで非現実を描くこと自体に興味が無いわけではないと思うのだが、宇宙人侵略場面はかなり安っぽくて、そこは味があるとも言えなくはないけど、黒沢清の本気の終末映像を見せて欲しいとは思った。

 

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    それとWOWOWでやったスピンオフというかサイドストーリーのドラマ版『予兆 散歩する侵略者』も観た。こちらはよりホラー、サスペンス要素が強めで、より黒沢清テイスト全開という感じになっていて、2話辺りまでこちらの方が面白いのでは?と思ったが、主演2人(染谷将太夏帆)の熱演が抑制的な演出と合わなく感じたり、物語の展開そのものが主軸になっていたりで段々と興味が薄れてしまって、『散歩する侵略者』の面白さの肝が長澤まさみ松田龍平の夫婦漫才にあったことを改めて認識することになった。

 

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【動画】映画『散歩する侵略者』予告編 - YouTube

 

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POLYSICS / That's Fantastic!

   『ダンス グミグミ』みたいなポップ路線の甘口曲もあるけど、ほぼひたすらバキバキで前衛的なナンバー揃い、なのにちゃんとメジャーアルバムとして聴けちゃう。相変わらずオンリーワンだし、またしても臨界点超えたアルバムだった。

POLYSICS 『That's Fantastic!』 - YouTube

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発売日 2017/11/29
収録楽曲
1.That’s Fantastic!
2.Crazy My Bone
3.Cock-A-Doodle-Doo
4.ルンバルンバ
5.Sea Foo
6.Pretty UMA
7.Shut Up Baby
8.Toisu Non Stop
9.You Talk Too Much
10.I Have No Idea
11.Ga Ga Ga Ga Gaping
12.ダンス グミグミ
13.ロックンロー

三度目の殺人 (2017・日)

    町工場の社長殺害容疑で逮捕された工場の元従業員で殺人の前科者である三隅(役所広司)の弁護を担当することになった重盛(福山雅治)は同僚の摂津(吉田鋼太郎)、川島(満島真之介)とともに面会を重ねる。しかし犯行を自白していた三隅の供述には一貫性が無く内容も二転三転し、被害者の妻(斉藤由貴)や娘(広瀬すず)への聞き取りも逆に事件の真相を不明瞭にしていく。真実の探求ではなく裁判を戦う為の合理性を重んじてきた重盛はいつしか三隅の底知れぬ闇に引き込まれ、真実を知りたいと考え始めるのだが…。
原案・監督・脚本・編集:是枝裕和、撮影:瀧本幹也美術監督種田陽平、音楽:ルドヴィコ・エイナウディ

 

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    取り調べの不可視や自白偏重を始めとした司法制度の問題点を浮き彫りにしつつも娯楽映画として飽きさせない仕掛けが随所にあって、人間はどこまで行っても他者を理解することは不可能、それを前提とした上で法治が運用されるべきだという真っ当な主張をちゃんとエンターテイメント作品として提示した是枝監督らしい真面目な映画だった。

 

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    馴染みの有名俳優の大量投入は作品を派手にする効果をもたらしつつそれぞれが流石の演技力を見せていて見応えがあった。特に福山雅治の使い方は『そして父になる』に続いてハマっていた。しかし容疑者に接見する場面で福山雅治吉田鋼太郎満島真之介、そしてガラス越しに役所広司と並んでいるのはテレビ的お茶の間感が凄すぎて、個人的にはもう少し新鮮な顔ぶれが見たいとは思った。

 

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    物語はミステリ的展開で引き込みつつ最終的には梯子を外して謎解きを肩透かしにすることで相互理解の幻想を露わにし、法の重要さをクローズアップさせる仕組みになっていて、他人のことは分からないという身もふたもない現実を提示しながらもシニカルにならない姿勢でそれを描く手腕は是枝監督ならではだった。ミステリ的展開に興味が向かい過ぎてテーマが見えづらい気もしたけど、逆にこちら側を信用して映画を作ってくれている感じもした。あと、楽しみにしてた広瀬すず以上に検事役の市川実日子が良かった。

 

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映画『三度目の殺人』予告編 - YouTube

 

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weezer / pacific daydream

    新しいアルバム出る度に言ってる気がするが、weezerは作品出してくれるだけで有難いのでそれだけでとりあえず嬉しい。で今作は珍しくストレートにビートルズ風だったりする部分などがありつつも最近の大物アーティストの作品と同様にアレンジや音色が思いっきり時代に迎合した仕様になっていたんだけど、何をやってもweezerにしかならないリヴァースの声とメロディという強烈な個性のおかげでやっぱりweezerの作品として楽しく聴けてしまった。

 

Weezer - Mexican Fender - YouTube

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発売日 2017/10/27
収録楽曲
1. Mexican Fender
2. Beach Boys
3. Feels Like Summer
4. Happy Hour
5. Weekend Woman
6. QB Blitz
7. Sweet Mary
8. Get Right
9. Mancha Screwjob, La
10. Any Friend of Diane's
11.Feels Like Summer(Acoustic)※bonus track

Courtney Barnett & Kurt Vile / Lotta Sea Lice

    企画モノだし緩い感じかなと思っていたら凄く良かった。この作品の為のカート曲はキャッチャーなメロディーが際立っていたし、カヴァーの選曲もハマっていた。2人の相性の良さはもちろんだけど他の参加メンバーの演奏も良くて、くつろいだ雰囲気でありつつ引き締まってユルくない絶妙な気持ち良さだった。

 

Courtney Barnett & Kurt Vile - Over Everything (Official Video) - YouTube

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発売日 2017/10/13
収録楽曲
1. Over Everything
2. Let It Go
3. Fear Is Like A Forest
4. Outta The Woodwork
5. Continental Breakfast
6. On Script
7. Blue Cheese
8. Peepin Tom
9. Untogether