yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

書籍

昏き目の暗殺者 上・下 (ハヤカワepi文庫) / マーガレット・アトウッド著、鴻巣 友季子訳

昏き目の暗殺者 上・下 (ハヤカワepi文庫) / マーガレット・アトウッド著、鴻巣 友季子訳 物語進行とは異なる階層のミステリとして機能させる語り手の曖昧さや、年代記、恋愛物、B級SFといった複数のジャンル小説として楽しめる入れ子状の構成など、重層的…

丕緒の鳥 (ひしょのとり) 十二国記 5 (新潮文庫) / 小野 不由美 著

本編では日の当たらない末端の役人たちの仕事ぶりを描く短編集。シリーズのディテールをより深める意味合いを感じつつ個人的には初めて物語に乗れなかった。例えば死刑制度を考察する『落照の獄』など、このシリーズでは現実世界の諸問題も俎上にあげて語れ…

風の万里 黎明の空 (上・下) 十二国記 4 (新潮文庫) / 小野 不由美

前作でファンタジーというよりは架空歴史物のような普遍的な物語にシフトした印象を受けたんだけど、かなりの長編の今作はさらに王道娯楽小説になっていて、遠山の金さん的なカタルシスと王様が在野で仲間を集めるという直球な展開が楽しい大作だった。 それ…

東の海神(わだつみ) 西の滄海 十二国記 3 (新潮文庫) / 小野 不由美

前作まででいいところ全部持っていっていた延王と延麒が主役ということもあって、敵味方がわりとハッキリとしたオーソドックスに進行する物語で、キャラクター物としてもシリーズが展開していくのかな、という印象。こちらもすでに世界観と登場人物に愛着湧…

風の海 迷宮の岸 十二国記 2 (新潮文庫) / 小野 不由美

現代日本を舞台にしたホラー『魔性の子』の裏設定として存在した異世界の物語を、異世界側から語り直すことによって物語世界の表裏を逆転させてこちらを表側とするシリーズへ変換させた作品で、それがその後も続く長寿シリーズになっていったという文脈だけ…

魔性の子 十二国記 0 (新潮文庫) / 小野 不由美

どうしようもなく切実に相手を必要としているのに、その相手からは相応には必要とされないという、魔性の子・高里と教育実習生・広瀬という主人公ふたりの残酷だが普遍的な友情物、というより恋愛物として面白かった。同時にその関係性がファンタジーに耽溺…

月の影 影の海 (上・下) 十二国記 1 (新潮文庫) / 小野 不由美

隅々までに構築された「異世界」のオリジナリティと存在感で現実におけるそれとは別次元のリアリティを楽しめて面白かった。当時のラノベ界に異世界転生物というジャンルが確立されていたかどうかは知らないけど、もし今作がその先鞭をつけていたとしても、…

やがて君になる画集 アストロラーベ / 仲谷 鳰

やっとひと通り鑑賞。『やがて君になる』の世界に再没入出来るし、とにかく美麗で装丁も良かった。連載ページのカラー再録もあって、流石分かっている!という構成も嬉しい。クリアな質感と手書きのような繊細な線がどちらもフルデジタル環境で描かれている…

響け! ユーフォニアムシリーズ 立華高校マーチングバンドへようこそ 後編 (宝島社文庫) / 武田 綾乃

主人公・梓の一見すると非の打ちどころのない性格こそを彼女の欠損として露にして、周辺キャラクターも含めてより個々の感情の機微に焦点を当てた湿度の高さで人間関係のエグいところまで掘り下げていき、シリーズ本編よりも青春の暗部を描くということをや…

響け! ユーフォニアムシリーズ 立華高校マーチングバンドへようこそ 前編 (宝島社文庫) / 武田 綾乃

努力家で、その努力に見合った実力と、それを嫌味にしない円滑なコミュニケーション能力を備えた、通常の青春小説であれば主人公として成立し難いキャラクターを中心に据えるというシリーズのスピンオフだからこそ可能な設定を駆使しつつ、その周辺の人物像…

響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話 (宝島社文庫) / 武田 綾乃

短編ならではの他愛のない、しかし各キャラクターに焦点を当てたエピソードの連なりで、群像劇としての本編のディテールをより深めてくれるファンとしては嬉しい作りの短編集。久美子と塚本の進展具合など重要な展開も含んでいるので単なるファンサービスい…

響け! ユーフォニアム 3 北宇治高校吹奏楽部、最大の危機 (宝島社文庫) / 武田 綾乃

タイトルへ繋ぐまでのストーリーに相応しく綺麗に物語に幕を下ろす展開が気持ちが良いし、青春の輝きとジメジメした部分を併せて描いてきたシリーズの醍醐味もそのまま残っていて良かった。主人公・久美子が傍観者的立場から離れることでキャラクターに寄り…

82年生まれ、キム・ジヨン(筑摩書房) / チョ・ナムジュ著、斎藤 真理子訳

韓国社会における女性に関するレポートをそのまま韓国人女性個人の年代記へとトレースしたような体裁をとりつつ、そこでクローズアップされるエピソードが、どこにでもありそうな何気ない場面でありながら男女の役割を当然のように分け隔てていることを浮き…

ヒッキーヒッキーシェイク (ハヤカワ文庫JA) / 津原 泰水

なんか話題に乗って読んだみたいでヤなんだけど、たまたま少し前に『バレエメカニック』読んで面白かったから別のSFも読んでみようと思ったところにハヤカワから文庫が出るとなったら読むでしょう!(つーか、むしろ文庫出版に関わる諸々は作品を汚すから忘…

響け! ユーフォニアム 2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏 (宝島社文庫) / 武田 綾乃

前作は青春小説として面白く読んだけど、今作ではコンクールでの演奏シーンの盛り上がりから結果発表までの緊張感が凄くて音楽小説としての醍醐味も味わえた。またもや楽しかったなー。

響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ (宝島社文庫) / 武田 綾乃

遂に原作に手を出してしまった…。アニメ版はじっとりとした人間関係の軋轢をキラキラした作画で浄化した具合がちょうど良くて、そこらへんが原作小説ではどうなっているんだろうと思っていたけど、キャラクター主体の物語でありつつ個人に焦点を絞り込まない…

いやしい鳥 (河出文庫) / 藤野 可織

確実に現実社会に存在してそうな図々しく不気味でイヤな人物の造形と描写がデビュー作からして既に確立していて面白い。それが物語になっていて楽しませてくれる近作の完成された面白さというよりは、イメージそのままを楽しむ純文学っぽい感じもありつつ、…

時間衝突【新版】 (創元SF文庫) / バリントン・J・ベイリー著、大森望訳

文明の激突というだけでもデカい物語なのに、それがそれぞれ異なる時間の流れ同士の文明だというとんでもない大風呂敷の展開をケレンとハッタリでわりと一本道なエンタメとして押し通す力技が爽快で素直に楽しかった。作中の文明の衝突は全体主義国家vs洗練…

たんぽぽ娘 (河出文庫) / ロバート・F・ヤング著、伊藤 典夫 編

表題作をはじめとして、SFプラス恋愛青春モノ(ただし恋愛対象の女性は美少女に限る)という日本で受けそうな要素の短編が多く収録されていて、その要素が濃い作品ほど甘酸っぱくて面白く読めたのだけど、日本のアニメにありがちな女性の神聖化というかロリ…

バレエ・メカニック (ハヤカワ文庫JA) / 津原泰水

SF風味の幻想小説な序章から始まり、中盤は落ち着いた探偵小説のようになってわりと淡々と進むかと思いきや最終章でサイバーパンクなドSFに突入する濃厚さ。そこにSF的仕掛けを盛り込んだ凝った人称使いと流麗な文章が合わさって凄く楽しかった。津原泰水は…

yumbo編・著 / yumbon

yumbo結成20周年記念のミニコミ誌。本人の全曲解説からディスコグラフィー、テニスコーツらからのコメントと充実の内容で嬉しく、yumboを聴いて感じるえもいわれぬ感情に少しだけ輪郭を与えられた気もした。中でも澁谷浩次による掌編がyumboの楽曲に通じる味…

宝石の国(9) (アフタヌーンKC) / 市川 春子

状況が判然としないままに襲来してくる謎の敵を迎撃する展開(エヴァ、進撃の巨人、雪風、etc…)は娯楽作品として大体面白いものの、事態が解明されていくにつれて失速していくことも多い。なので本作のように謎を解き明かしつつもそこで浮かび上がる世界が…

オーバーロードの街(朝日新聞出版) / 神林長平

タイトルから「過負荷都市」となんか関係あるかと思ったが特に無し。あと冒頭、骸骨の人が出てきたので、深夜アニメでやってたラノベ(?)の「オーバーロード」ともなんか関係あるのかと思ったが、それも多分関係無かった(当たり前か…)。で、内容は近作で…

現代SF観光局(河出書房新社) / 大森望

SF的なものが好きという気持ちと裏腹に全くその世界を追っていないし掘り下げてもいないので、最近の流れだけでもザックリ分かるかなと、ガイド本を読むような浅ましい動機もありつつ読んでみた。結局最近の傾向とかはあんまり頭に入って来なかったが、楽し…

曽根中生自伝 人は名のみの罪の深さよ(文遊社) / 曽根中生

評伝や自伝の主役となるほどの映画監督であれば通常持ち得るだろう自作への自負心や思い入れが希薄に感じられて、このスタンスは撮影所のシステムが機能していた時代の監督ならではの感覚や職業監督しての矜持から出ているものなのか、などと考えつつ読み進…

競売ナンバー49の叫び(ちくま文庫) / トマス・ピンチョン著、志村正雄訳

主人公が社会の暗部に入り込むほどに陰謀論と真偽不確かな情報に翻弄されていく様は今の政治、社会状況にあまりにジャストで、おまけ的に収録の短編『殺すも生かすもウィーンでは』も頻発する銃乱射事件を予見したような内容というのもあって、色褪せない新…

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫) / 森見 登美彦

SF大賞なので一応積んでたら映画が公開になっちゃうので読んだ。 忽然と現れた謎の球体を『海』と呼称して研究したり、地域が謎の力の影響下にあったりと『ソラリス』や『ストーカー』と言ったような王道?SFのジュヴナイル版と言った側面もありつつ、基本は…

吸血鬼 (講談社) / 佐藤 亜紀

タイトルと装丁から普通に吸血鬼小説だろうと思いつつ読み始めたら、「吸血鬼」という表題は政治における搾取する側、される側、アートにおける作り手と受け手の関係性など、社会における様々な事象のメタファーとして掲げられていて、幼稚な期待感は悉く肩…

おはなしして子ちゃん(講談社文庫) / 藤野可織

表題作、舞台となる小学校の雰囲気や生徒の感情のリアリティが凄くて、やっぱり藤野可織凄い!となる。その他の短編も物語の形はそれぞれ全く違いつつもアイデアに溢れ、恐怖とユーモアの混在した短編になっていて、非常に楽しかった。諸星大二郎と少女マン…

淵の王(新潮文庫) / 舞城王太郎

分類としてはホラーみたいだし、日常に立ち現れる狂気と怪異の恐怖をちゃんと感じさせてもくれたけど、同時にキャラクターが基本的にネアカで、特に語り手の背後霊たち(?)の前向きな姿勢が陰惨な展開にも軽やかさを感じさせ、明るく楽しい娯楽作品のように…