ビフォア・ミッドナイト
監督はトリュフォーのアントワーヌ・ドワネルものの影響も語っているようだが同じ2人の関係を20年近くに渡って描き続けるのは前代未聞。それだけで凄い。しかも回を重ねるごとに前作、前々作の作品価値と深みが増してく。単体で観ても今作も面白い。舞台は今回も律儀に変えてギリシャになっていて、その情景だけで今作独自の趣きがあるし、ジェシーとセリーヌがそこで延々行う会話が何気無いのに(←無論考え抜かれた上で)気持ちいい。しかしテーマの一つだろう時の移ろいについては特に前二作があればこその深みで、映画後半では別段泣くシーンでもないのに何度もウルウル来た。あと今回もオープニングタイトルの出し方がカッコいい。それと黄昏時の男女の物語とはいえ、お互い背中を向ける訳でなく会話し続ける態度が一貫しているので、扱う内容の割りにジメッとしていないのも良かった。