予告で感じた難病物みたいな方向性は皆無。最近の恋愛映画の岩井俊二劣化版みたいなソフトな映像を予測していたら、冒頭からドキュメンタリーフィルムのような生々しい映像で意表を突かれる。すでに世を去ったつかさの存在を、雅己の思い出語り、母親のホームビデオ、(恐らく)つかさ自身の日記、などによって描いていくという体裁が、ドキュメンタリー的な映像タッチと上手くマッチしていた。
さらに記録と記憶の集積によって他者を立体的に知り、理解を深めていくという構造が、映画そのものを同時に語るようにもなっていて、徹底的にベタな演出を排しながらも、その記録と記憶のかけがえのなさが際立ち感動的。
北川景子も単にお飾りの美人としてでなく、意志の強さが滲みでてくるような演技で魅力的だった。