特殊部隊上がりの凄腕ニック(ジェイソン・ステイサム)は何かしらの挫折の末にラスベガスで用心棒をやっている男。この時点ですでにいつものステイサム、問答無用に最強という設定。
そんな彼に、ラスベガスへ遊びにきた青年実業家キニック(マイケル・アンガラノ)が警護を依頼する。この依頼主が年若く、金はあるが腕力は無いというニックと真逆の設定。それで水と油の二人が反発しながらも友情が芽生えていくという当然の展開なんだが、イマイチ本筋のストーリーと絡むことなく中途半端なことに…。
で、本筋というのは、大物マフィアの跡取り息子デマルコ(マイロ・ビンティミリア)からの暴行を受けた知り合いの娼婦が、ニックに報復を依頼、渋りなからも義理と人情で報復決行した結果、マフィアから命を狙われることに、というもの。ここら辺りのマフィアとのバトルはアクションというよりバイオレンスで、無敵ステイサムが怖すぎる。けっこう好きだ。
そんな無敵なステイサムが人間的な弱さからラスベガスという夜の世界から逃れなれないというのがもう一つのテーマで、しかしあまりにも無敵だから別にラスベガス暮らしでいいじゃないかという気分になり、そこは全然深まらない…。前述のキニックとの友情モノといい、いつもの暴れるだけでない、渋みや深みを加えた作品にしようとして全てが中途半端になってしまっている印象。オープニングの小芝居からして結局本筋とは全く関係してこないし。全体のトーンやバイオレンス描写そのものは良かったが、トータルでは変な映画か。約一時間半のコンパクトさは良かったが。