yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

グランドピアノ 狙われた黒鍵

    過去の失敗からステージ恐怖症に陥り、演奏をやめていた天才ピアニストのトム(イライジャ・ウッド)。しかし妻(ケリー・ビシェ)の頼みもあり、5年ぶりに演奏会へ出演することに。しかし演奏会当日、用意された譜面には「一音でも間違えたら、お前を殺す」というメッセージが記されていたのだった…。監督はエウヘニオ・ミラ。

    まず、オープニングのメタリックかつ流麗なムードに、これはサスペンスの王道を見せてもらえるかもと胸高まるが、本篇が始まった途端、B級な絵作りにコケる。キャストでイライジャ・ウッドジョン・キューザックと並んだ時点でその手の香りは漂ってきていたのだが。作品のタイプとしてはシチュエーションスリラー(サスペンス?)。作り手はミスタッチ=死というギリギリの状態で演奏を続けるというシチュエーションをやりたいだけのようで、その状況を作り出す手段も整合性もハナから考えられておらず、ある意味では潔いB級サスペンスだった。

    犯人(ジョン・キューザック)からのあれやこれやの指示を演奏しながらこなしつつ、観覧中の奥さんと自らの生命をスナイパーから守る為に右往左往するイライジャ・ウッドの眼玉ひんむき演技が楽しくて、その意味では状況を楽しませるという作り手の意図は充分達成されてはいた。

    とは言え、やはり状況の作り方があまりに酷くて、主人公に無理にでも見事な演奏をさせないと宝の隠し場所が分からないという設定はどう解釈しても犯人が馬鹿だとしか思えないし、そこで出てくる犯人がジョン・キューザックなので、いよいよ犯人というのは舐めても大丈夫なくらい阿呆だというムードになって、緊迫するシチュエーション自体が弛緩するレベルなのは良くない。あと主人公の間抜けな友人たちの使い方も酷くて、空気を読めないおバカな奴だから死んでよし、みたいな作りはどうかと思った。

    過剰な期待なしにイライジャ・ウッドの面白演技を楽しむというのが正しい向き合い方かな。


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