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yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

チャッピー (2015)

    最悪の治安状態にあったヨハネスブルグで配備が開始された自立型ロボット警官〈スカウト〉が圧倒的な効果をあげる中、開発者のディオンは社命に背きスクラップ寸前の1台のスカウト(シャルト・コプリー)に人工知能をインストールしようとする。しかしその矢先、ストリートギャングのニンジャ(ニンジャ)たちにスカウトを奪われてしまう。ニンジャの妻ヨーランディ(ヨーランディ・ビッサー)にチャッピーと名付けられたスカウトはニンジャたちにギャングとして教育されていくが、それを阻止しようとするディオン、チャッピーに母性を誘発されたヨーランディ、そしてディオンとチャッピーを潰そうとする科学者ヴィンセント(ヒュー・ジャックマン)らそれぞれの思惑が錯綜する中、自らの人工知能を成長させていく…。

    いい意味でも悪い意味でもブロムカンプ監督作品という仕上がりだった。以下多分ネタバレだ。

    ヨハネスブルグの魔都ぶりが相変わらず舞台として独特で、打ち捨てられたスラムと近代的な高層ビルが混在する風景と凶悪な住民たちの面構えがブロムカンプ独自の世界観を醸し出していた。その風景とエキセントリックなキャラクターでオタク層以外にも届くエンターテイメントとして成立させながらSF映画やアニメで繰り返し描かれてきたガジェットやテーマをふんだんに盛り込んだオタクぶりも楽しかった。

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     ただこれはブロムカンプの過去作でも感じてきたことだけど、考察したり提示したりすれば面白くなるテーマが結局語られないというのが今作でもあって、それがSF映画としてはかなり物足りなく感じてしまうところ。例えばチャッピーとディオンが意識だけ飛ばして別のロボットの身体に入り込むというオチだが、SFとして面白くなるのは精神が肉体と分離して別の身体を得た時に、その人格が以前と同じ人格と言えるのか、という問いかけや、機械の身体となって性から分離された精神がどういう状態に変容するのか、という疑問、それ以前にそもそも生命の定義をどう捉えているのか、などなど映画として描けばもっと面白くなるであろう部分にあまりに無頓着で、エンタメなんだからどうでもよかろうもんという事かも知れないが、しかしブロムカンプ映画が凡百のSFアクションと一線を画している部分というのは作品にアパルトヘイトや貧富の格差といった問題を織り込んでいるという要素もあるわけで、それならばもっとテーマを深めれば更なる面白味へ昇華されるのではないのか、などと妄想してしまうのだった。

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    というか、別の身体に精神とばして入り込むというのはずっと昔に『スキャナーズ』でやってるわけだし、更に言えば『攻殻機動隊』そのまんまだよな。ラストでチャッピーが精神を転移するシーン、突入する警官隊がチャッピーを破壊するのと精神転移を同時にやれば盛り上がるのに、それをやらなかったのは、あまりにも『攻殻機動隊』と同じになってしまうと思ったんからじゃなかろうか。ちなみに『攻殻機動隊』では生命の定義を繁殖に見ていたり、短い尺でもちゃんとウンチクの面白味を提示していたよな。

    と、面白く観た分、惜しむ気持ちであとから物足りなさが沸き起こってきたが、ニンジャ、ヨーランディのぶっ飛び夫婦やメカの楽しさを堪能する映画だと思えば全然OKなんだが。ただ敵ロボムースがロボコップの敵ロボみたいなデザインだったりするのはいまひとつピンと来ない。あと家族愛みたいなものの安易な使い方、つまり他人の命は屁とも思ってないのに近親者へは無償の愛を示すという自己中心的な態度を美化して描く部分とかも嫌いではある、とまた文句になってきた。いや、チャッピー萌えられるからいいんだけど。

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     キャストでいうとシガニー・ウィーバーはただの間抜けキャラでもったいない。あと、いくら元兵士という設定とは言え、どう見ても科学者に見えない筋骨隆々ぶりでしかも窓際族(死語か…!)という役どころに何故ヒュー・ジャックマンを据えるのか分からなかったのだが、もちろんブロムカンプがオタクでウルヴァリン大好きという可能性もあるが、チャッピーが彼をボコボコにしたあと許しを与えるという場面で、その暴力性がチャッピーから観客の心を離れさせてしうのを抑止する為に、彼なら大丈夫、死なないだろうと観客に感じさせられる頑丈さの為にキャスティングされたと考えると納得か。

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     それと日本だと残酷シーンがカットされたという話があって、多分それはムースがチャッピーたちを襲うシーンで変なブツ切りがあったからその辺りだとは思ったが、その妙なブツ切り具合が昔の香港映画の風味を感じさせていたりして、わりとどうでもいいかな、という感じではあった。


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