yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

カラスの親指 (2012)

   ヤミ金業者のボス樋口(鶴見辰吾)に追い込まれて家族と仕事を失い、冴えない中年男テツ(村上ショージ)とともに詐欺師として暮らしていたタケ(阿部寛)は偶然の成り行きで、やひろ(石原さとみ)、まひろ(能年玲奈)の姉妹とやひろの恋人貫太郎(小柳友)との共同生活を始める。姉妹はかつてタケが樋口に命じられて取立てを行った末、自殺に追い込んだ女性の遺児であった。そしてその事実を言い出せないまま、タケたちは再び裏社会で勢力を伸ばしつつあった樋口と対峙する状況へ追い込まれていくのだった…。

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    とにかく長かった。序盤、本筋に入る前に詐欺師としての手際と生活ぶりを紹介するエピソード、さらに続けて、タケが落ちぶれるまでの物語を長々と語っていてかなりもどかしい。回想シーンもタケの住むアパートが出火するのを見て、過去に自宅が焼失した事件を想起する形で始まるのだが、現在の火事のシーンから過去の火事シーンに移行させればいいのに、そこまでを延々と説明してそこへ至るという回りくどさ。そりゃ長くなるよな〜という作りだ。作品自体が詐欺師の軽快な活躍に相応しいテンポを求めているだけに余計に間延びした印象を受ける。

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    更に気になったのは映画の肝である詐術に説得力が全くないところだ。どのエピソードも詐欺の成否が相手の反応次第で決まるという行き当たりばったりぶりで、偶然性に頼り過ぎな上に全然上手いと思えない。今作のように詐欺師が活躍する映画ではいかに気持ちよく騙してくれるかを期待してしまうが、これでは騙される気がしない。映画内で騙されてる奴はただの馬鹿にしか見えないし、馬鹿を稚拙な詐術で騙してる様子を見せられても爽快感が感じられない。

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    と、色々気になるところは多かったものの、そこを考えなければコメディ性とストーリー性が程よいバランスで進行していき、普通に面白く観られた。これは二枚目なんだけどちゃんと隙のある、いつもの阿部寛の存在感が効いていた。しかし何よりこの作品の価値を高めてるのは『あまちゃん』以前の能年玲奈の出演で、わりと最初から出ずっぱりなんだがやはり能年玲奈の瞳のキラキラ感は凄かった。最初に長過ぎると言ったものの彼女を沢山観られたという意味では実はもっと長くても構わないとも思ったりしたのだった。

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