ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS (2003)
ゴジラのDNAから製造されたメカゴジラ『機龍』がゴジラを撃退してから1年、再び東京に迫りつつあるゴジラを迎え撃つべく政府は機龍の修復作業に追われていた。そんな折、機龍整備班員、中條義人(金子昇)の叔父、中條信一(小泉博)の元にインファント島よりの使者で、旧知の間柄でもある小美人(大塚ちひろ、長澤まさみ)が現れ、自然の摂理に反する機龍の運用中止を勧告、従えばモスラが東京を救うと告げる。しかしモスラによる襲撃を経験している政府は機龍によるゴジラ迎撃を推し進めるが…。監督脚本手塚昌明、脚本横山昌宏、特技浅田英一。








機龍の運用に関する描写がCGの組み合わせを含め前作から格段にパワーアップしていて楽しかった。巨大ロボ運用の為に大量の整備班が活動する雰囲気はエヴァやパトレイバーの影響が見られるが、特撮怪獣映画への憧憬からロボットアニメにそれらの要素を取り込んできた作品群から更にそのエッセンスを特撮映画へと逆輸入的に注入してやろうという目論見が前作での実験を経てより完成度を増した形で提示されていた。

キャラクターに関しては前作からの流れを一応踏んでいて、釈由美子もゲスト的な扱いながらちゃんと物語内で登場していて嬉しい。そして今作のヒロイン如月梓役の吉岡美穂はタンクトップ姿が逞しくセクシーで、棒読み気味のぶっきらぼうな台詞回しも良かった。小美人役で長澤まさみが出てくるのもお得感がある。ちなみにそのシーンでは『モスラ』でのザ・ピーナッツによる小美人のオリジナル映像がフラッシュバックで出てくるのだが、それを見たうちの娘は昔のほうが歳とってるやん、という容赦ないツッコミを入れてた…。


義人が地下鉄線路をバイクで突っ走って機龍の修理へ向かうアクションはクライマックスへ向けての素晴らしい盛り上げになっていて、そこからの一連のシークエンスを通して技術者が機械と直接向き合い、より良いものを作っていく情熱の崇高さを見せてくれた。それが機龍に使われた技術に代表される行き過ぎた科学の負の側面と合わせて人と機械の関係性、科学進化の功罪というテーマを自然に浮かび上がらせていて、義人と機龍のコミュニケーションによるフィナーレをより感動的で深みのあるものにしていた。


↑うちあげられたカメーバの場面も味わい深い。
