yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

アントマン (2015)

    出所した窃盗犯、スコット・ラング(ポール・ラッド)は更正を目指していたが、離婚した妻(ジュディ・グリア)とその婚約者の警官(ボビー・カナヴェイル)の下で暮らす最愛の娘キャシー(アビー・ライダー・フォートソン)の養育費支払いもままならずにいた。追い込まれたスコットは、ムショ仲間のルイス(マイケル・ペーニャ)らと、ある富豪の豪邸に忍び込む強奪計画を実行する。しかし金庫の中に金は無く、あったのは謎のスーツ一式だけであった。好奇心からスーツを着用したスコットは途端に身体が縮小してしまう。実はこのスーツは原子レベルに作用し身体を縮小させる『アントマンスーツ』で、スーツをスコットに奪わせるように仕向けたのは富豪である科学者ハンク・ピム(マイケル・ダグラス)自身であった。ハンクはスコットのスーツへの適応性をテストしたのだった。期待に応えたスコットに、ハンクはアントマンとなって、縮小技術を悪用せんとするハンクの元弟子ダレン・クロス(コリー・ストール)から技術を奪い返すよう依頼する。人生を逆転して娘キャシーのヒーローになる為、スコットはハンクの娘ホープ(エヴァンジェリン・リリー)の協力による特訓を経て、アントマンとして縮小技術の奪還計画を開始する。ペイトン・リード監督、脚本はエドガー・ライトジョー・コーニッシュ、アダム・マッケイ、ポール・ラッド

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    新ヒーロー誕生の経緯と対峙する敵を含む取り巻きキャラクターの紹介を行いながらヒーローの活躍も存分に描く、その全てがソツなく丁寧に進行していき、更にはマーベル世界への連結への道筋もつけておく。悪いところがないし、見ていて楽しかったがそれ以上のものはなく、あまり興奮しなかったのは多分一緒に連れて行った保育園児の様子が気になってたからだろう…。

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    アベンジャーズやその準メンバーの豊富さで今ではヒーロー映画の主人公たり得る資格も多種多様ながら、今作での前科者のヒーローというのは中でも変わり種と言えるし、それを活かした相棒マイケル・ペーニャたちと繰り広げる犯罪映画的展開が、これまでのマーベル映画とはまた違った面白味を出していてよかった。

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    人体の縮小描写も面白くて特に最初にスコット・ラングがアントマンになる場面で、世界が巨大化して浴槽や蛇口といった日常が異質な風景へと変容していく描写は、今の技術あってこその不気味で不思議な感覚が表現されていて気持ち良かった。

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    しかし小人化=世界が変容する醍醐味自体は、主人公がスーツ着用後、わりとすぐに伸縮自在になり、後半は薄気味悪さが無くなってヒーローのひとつの特殊能力と化してしまうので、あまり味わえない。そこは蟻軍団の活躍や彼らとの友情(?)といった展開でカバーしているし、小さくなりすぎると量子の世界に突入して時間や存在が無意味化するという枷のおかげである程度は不気味さも担保されてはいるんだけど、せっかくの題材なので日常を異常な目線でもう少し見せて欲しかった。

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    でクライマックスはラスボスとの子供部屋バトルで、オモチャのトーマス列車を使った普通サイズと蟻ん子サイズを使いわけた子供も楽しくなるアクションがグズり始めていた園児を連れた観客としては非常に助かったんだけど、それまでの犯罪映画的楽しさや江戸川乱歩的いかがわしさをもっと見たかったので、結局こういう収束か、という物足りない気持ちにもなってしまった。ヒーロー映画なのだからそれで正解なんだけど、他の側面がさらに面白くなりそうだったので余計に色々期待が膨らんでしまった。

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    その物足りなさは、ストーリー、CG、演出と全方位的によく出来ているにも関わらず映画全般に感じてしまって、それもどこかいびつではみ出したものが見たいというこちらの勝手な期待のせいではあった。なのでヒーロー映画としては充分以上の作品だったと思う。

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     あと蛇足で超個人的な気持ち。今作のストーリーは、どん底に落ちた中年がそれでも娘の為にヒーローになろうとするという、多分子持ちの僕などには一番盛り上がるであろうプロットなんだが、しかし何でアントマンになることがイコールで娘のヒーローになるということなのかは観ていてよく分からないし、アントマンスーツがリクルートスーツのメタファーだとしても、そんな都合のいい高機能なスーツが現実味のない話なのは社会で生きている大人なら誰でも感じることで、こういうおとぎ話を、まるであなたの為の物語ですよ、みたいな作り方で提示されるのはちょっと不愉快な気持ちにもなった。作品の評価とは関係ないけど。

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