yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

ハーモニー (2015)

   「大災禍」により文明と人命が著しく失われた国際社会はその反省により極端な健康志向と人命尊重を掲げた生府と呼ばれる超高度医療社会を構築し、人々は体内にWatchMeと呼ばれる電子デバイスを埋め込まれ社会的公共財として身体を管理されていた。そんな世界への反抗から霧慧トァン(沢城みゆき)、零下堂キアン(洲崎綾)は絶対的なカリスマ性を持つ少女、御冷ミァハ(上田麗奈)に共感してともに自殺を試みるが、ミァハ以外は一命を取り留めた。数年後、絶大な権限を持つ社会保険機構螺旋監察官となったトァンは不祥事により海外任務を解かれ数年振りに日本に帰国、しかしそこで再会したキアンが彼女の眼前で突如自殺する。同時刻、全世界で同様の事象が発生し数千人規模の人命が失われていた。螺旋監察官として捜査を開始したトァンは事件の背後に死んだ筈のミァハの存在を感じるのだった…。
監督なかむらたかしマイケル・アリアス、脚本山本幸治総作画監督田中孝弘、作画監督武内一義、アニメーション制作STUDIO4℃

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     CGの人工性を存分に活かした潔癖で美しくも非人間的な都市描写はパステルピンクを基調とした異様な色遣いと相まって他では見たことのない独特の映像美を堪能させてくれたし、ハードSFに耐え得るリアルさとアニメならではのデフォルメ(萌え?)のバランスが絶妙で魅力的なキャラクターたち(原案redjuice、デザイン田中孝弘)も観ていて気持ちが良かった。特にこのキャラクターでのトァンたちの女子高時代における百合世界は少女マンガ的耽美ぶりが素晴らしかった。というよりこの映画、SF的テーマよりもその筋の作品として、より面白かった気もする…。

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    作品テーマとしては、日本を生暖かくて優しい世界と位置付けた前提が、ヘイトが大手を振るい、暴力による平和を志向する国へ変容してしまった現実によって通用し難くはなっているものの、それが逆に感情を排して調和を到来させるハーモニープログラムの受け取り方に、より多層的な意味を想像させて、それはそれで感慨深かった。

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    アニメーションそのものもCGならではの面白味がちゃんと生かされていて凄く良かった。理屈の詰め込まれた設定やストーリー展開で静的な場面が多いところをCGアニメの利点を生かして背景をグリグリ動かし感情面を演出したり、物語世界を様々な角度から見せていくことで躍動感を出したりと全く飽きさせず、画面そのものにワクワクして観続けられた。

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     全体として伊藤計劃による原作のテイストを感じさせながらアニメーションの快楽も両立させた力作で、想像以上に面白かった。

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