読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

恋人たち (2015)

    理不尽な事件に巻き込まれ、誰にも理解してもらえない傷を抱えたまま橋梁点検の仕事をしてギリギリの生活を送るアツシ(篠塚篤)と華やかな世界への憧れを漠然と抱きながら平凡な日常を送る主婦・瞳子高橋瞳子)、そして親友への想いを胸に秘めつつ他者を見下したように生きる同性愛者の弁護士・四ノ宮(池田良)。彼ら3人の日常に起こる僅かな変化の物語。監督脚本橋口亮輔

f:id:yudutarou:20151228132739j:image

    登場人物たちの造形が素晴らしかった。主人公の一人アツシは鬱憤を身体に溜め込んだまま社会の中にどうにか身を置いていることが佇まいから醸し出ていたし、博多弁が珍しくリアルだったのも福岡人として納得の出来。他の主人公もリアリティを持った生々しい存在感で、加えてプロの役者たちがシリアスとユーモアの絶妙なバランスで文字通りに脇を固めていたことも作品世界を強固なものにしていた。特に安藤玉恵が笑えた。

f:id:yudutarou:20151228132749j:image
f:id:yudutarou:20151228132827j:image

  水脈から東京の風景を切り取った視点は押井守作品などでもやっているが、ここでは別の角度から都市を見つめることが都市の底で生きる人々の孤立感と呼応した形で見えていて、テーマと密接に共鳴した使い方に思えた。さらに生きている場所と人が水によって繋がっていること、自然を介して世界と繋がることなどが瞳子の放尿シーンともリンクすることで感覚的に示されることで映画に奥行きを与えていた。

f:id:yudutarou:20151228132800j:image 

   同じ場所で会話を交わしながら互いに全く相手を理解していないし、理解するつもりも無いという絶望的な現実を容赦無く突き付けながら、それでも僅かな気遣いや優しさが生きていけるだけの希望を垣間見せてくれるという、要約すると当たり前のことを提示しているだけに思えるが、それがリアルな日常描写の積み重ねと説得力のあるダイアローグ、人物描写によって心に響く、まさに映画としか言いようがない作品に昇華されていて、橋口監督の優しい眼差しが滲み出た名作になっていた。

f:id:yudutarou:20151228132817j:image


f:id:yudutarou:20151228133752j:image