舞台の城の色彩やゴーストのデザインなどトロの趣味全開ぶりが楽しかったし、CGを使った部分もちゃんと不気味で気色の悪い風合いが出ていて良かった。トロの趣味全開と言えば主人公のパパが英国貴族トーマスの手をとり、その手の造作で生き様を読み取るくだりは風の谷の老人か!というツッコミを入れたくなるような微笑ましい場面だった。主人公のミア・ワシコウスカのメガネっ子ぶりとかも流石。
トム・ヒドルストンはロキのダメ弟ぶりと『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』でのゴシック貴族の両方を統合したようなキャラクターが見事にハマっていて最高だったし、彼の姉役のジェシカ・チャスティンも顔面がとても怖くて良かった。パシフィック・リムの主人公の人(チャーリー・ハナム)も善人キャラで出ていて嬉しい。顔面突き刺しを始めとした残酷描写も面白かったけど、直接的な描写が作品の風情を欠けさせてしまっている気がしたがそこはご愛嬌か。
あと、逃走するイーディスが作り込んだ屋敷の中をダイナミックに走り回り、それをカメラが追いかけていくクライマックスは目を見張るものがあったが、屋敷外に出てからのクリムゾンピークの風景をもっと見せて欲しかったのと、ここでの決着の付け方はもっと別のやり方で良かったのでは、という不満はあった。『パンズ・ラビリンス』的な方向と思っていたらこっちか、という少し残念な感じだが、少女冒険物の小品と思えばこれはこれでいいのかな、と思える程度のことなので全体として好感の持てる作品だという評価は変わらない。