ほとんど詐欺的な行為で荒稼ぎしたのちに破綻しても国民の税金が投入されて救われる銀行、そんな銀行へ一矢報いるように金融崩壊に乗じて逆に利益を得ることに賭けた主人公たちがむしり取る金も出所は結局市民たちという最悪の事実を描いていて、監督がかなり怒り心頭なのがビシビシ伝わってきたし、色々勉強にもなった。
で、映画としてどうかというと、説教臭くならないよう細かな編集と達者な演技を積み上げて劇映画に昇華していて面白かったが、同じく金融業界の底抜けぶりを作品化した『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の破天荒さに比べると真面目さゆえの限界も感じた。具体的には『ウルフ・オブ〜』同様にメタ的なキャラクターの語りかけを挿入したりしながらも銀行と対峙するトレーダー達に善という概念が当てはまらないのを承知の上で敢えて正義側の位置付けを(少なからずではあるものの)与えてしまっていたりするような部分か。『アザーガイズ』のエンディングでサブプライムローンの図解を入れ込んじゃう生真面目さが今作では映画としてのダイナミズムを削いでしまっていたように思えた。