「本郷猛が帰ってきた」みたいな宣伝をしていたが、ちょっと前のライダー映画にも藤岡弘、出てたしなーという気分で子供と観に行ったら、女子高生とUFOキャッチャーで遊ぶ弘、回転木馬に乗ってはしゃぐ弘、ランチを楽しむ弘、…と一体何を観せられているのかと眩暈がする場面が繰り広げられた。しかしそこを含めて藤岡弘、の魅力が全面的に展開されていて、しかもヒーローを演じた役者としての責任を本気で背負って「命を大切に」というシンプルながら熱いメッセージをちゃんと伝える「企画藤岡弘、」が伊達じゃない真剣さがあり、スタッフの布陣も含めてかなり気合いが感じられた作品だった。
無国籍アクション風に始まる冒頭の舞台がチャイヨープロの国タイというのも趣深かったが、そこでの生身の格闘を始めとして1800ccの大排気量オートバイを疾走させたりと全編に渡る藤岡弘、の奮闘ぶりも感激ものだっし、そんな〈藤岡弘、映画〉でありつつきちんと現行の仮面ライダー要素も物語の軸にしてゴースト目当てのちびっ子への目配せも忘れていないのも子連れとしては嬉しかった。
新しい1号のデザインはもっさりしたパワードスーツスタイルで、これじゃ力の2号のイメージじゃないかという気もしたが、今の藤岡弘、の体型から変身するならこれか、というところもあったし、昭和ライダーはアンドロイドでなくて改造人間なので普通に老けるし病気するのか、というナルホド感とともに変身後の姿もそれに合わせて変化するというのがなかなか味わい深くはあった。
残念だったのは本郷猛的クライマックスがやってきて、ここで「レッツゴー‼︎ライダーキック」だろう、というところで曲が鳴らなかったこと。ここでテーマ曲が流れるとかなり燃えたはずなのに!