絶滅に瀕した世界から禁断の魔法を操るグルダン(ダニエル・ウー)に率いられたオークの軍勢が平和な世界アゼロスに新天地を求めて攻めて来た。人間の国王(ドミニク・クーパー)はアゼロスの他種族と同盟を組み、強大な魔力を持つ守護者メディヴ(ベン・フォスター)を中心に応戦する。そんな中、人間とオークのハーフ、ガローナ(ポーラ・パットン)の協力ので騎士ローサー(トラビス・フィメル)と若き魔法使いカドガー(ベン・シュネッツァー)はオークの部族長デュロタン(トビー・ケベル)と密会し、戦争回避を画策する。監督・脚本ダンカン・ジョーンズ、脚本チャールズ・リーヴィット、撮影サイモン・ダガン、音楽ラミン・ジャヴァディ。
B級感が漂うポスターに何で今時こんなのが大々的に上映されているんだと思ったらダンカン・ジョーンズの新作だった。てことはボウイが生前に息子の最新作を観ていた、というのはこれか、ということで観てみた。
これまでのダンカン・ジョーンズ作品は、ハードSF調の作品を作ろうという気概を感じるものの、それだけに逆に至らない部分が目に付いてしまってもいたのだが、今作は既視感満載の世界観やキャラクター、ストーリーがゲームみたいな(実際、原作はゲームらしいけど)ファンタジーで、正直どうしてこんなの作ったんだろう、という気分になってしまった。個々のキャラクターの設定やCGによる造形は良く出来ているし、つまらない訳では無いのだけど。というかストーリーは新スタートレックの連邦とクリンゴン帝国の話だよなぁとか思ったが、ひょっとしてダンカン・ジョーンズはSF好きとしてそれをやりたかったのか、と思った。
魔道に取り込まれる魔法使いの話や種族同士の争いなど、それぞれ掘り下げれば面白くなるようなストーリーではあったけど、色々詰め込み過ぎたおかげで映画的余白の無いダイジェストを見せられている感覚が強く、そんな感じでキャラクター同士の関係性も深めないままに後半で軽快なバディ物のようなノリを導入されたりしても全く乗れないし、そんなノリでやっているかと思うと次の場面ではいきなり重々しい展開で壮大さを出そうとしたりして、作品のトーンもバラバラ。ファンタジーとしての確固たる世界観の構築にも失敗していた。続編やる雰囲気濃厚だが、ダンカン・ジョーンズにはハードSFに戻って欲しいな、という感想。