yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

ホワイト・ドッグ (1982)

     帰宅中に白いシェパード犬を車で轢いてしまった売れない女優・ジュリー(クリスティ・マクニコル)は犬を助け、そのまま自宅へ連れ帰る。ともに過ごすうちに犬への愛情を抱くジュリーだったが、犬は攻撃犬、それも黒人のみを襲うように調教を受けた「ホワイトドッグ」であった。人を襲い、危険な犬だと判明したものの殺処分にしたくないジュリーは有名な調教場を持つカラザス(バール・アイヴズ)を訪ね、黒人調教師のキーズ(ポール・ウィンフィールド)に再調教を依頼する。キーズは厳しい仕事になることを承知でそれを引き受けるのだった…。監督・脚本サミュエル・フラー、脚本カーティス・ハンソン、撮影はブルース・サーティーズ、音楽エンニオ・モリコーネ

 

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    野獣が人を襲うホラーと思って観てたら違った。しがない女優が犬と暮らし始めて、その犬が段々とその凶暴性を露わにするという序盤はB級ホラー感が漂っていて(特にブティックにスローモーションで突っ込む清掃車とか凄くダサい!)、それだけにガラスを割って飛び出したりするわんちゃんの場面とか観てると、ちゃんと怪我しないようにケアして撮影してるのだろうかと要らん心配ばかりが頭をよぎっていた。

 

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    ところが実は犬が差別主義者に黒人を襲うように調教された存在だと分かってくる辺りで段々とただのホラー映画ではないムードが出てきて、多用されるわんちゃんの目のクローズアップにも色んな感情が投影されている気がしてくる。黒人調教師のキーズとわんちゃんのガンタレ合戦には何じゃこりゃと思わされつつも、キーズの熱情が伝わってきて次第にこちらにも力が入ってくる。

 

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     警察に引き渡さずに、正義を信じて調教を続けるが為に悲劇が続く展開など根深い差別に対して戦うことの困難さを強烈に表現していたし、孫を連れた好々爺がわんちゃんをホワイトドッグに調教した人物として登場する場面ではホントにゾッとさせられ、また、目で雄弁に演技しているかのように錯覚させられる犬の演出も見事だったりで、B級ホラーと思っていたら鋭くて重たい、しかも苦い後味の作品だった。

 

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White Dog (1982) Theatrical Trailer - YouTube

 

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