yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

散歩する侵略者 (2017・日)

    数日間行方知れずだった不仲の夫・真治(松田龍平)が魂が抜けた別人のようになって家へと戻ってきて戸惑う妻の鳴海(長澤まさみ)。しかし生まれ変わったように穏やかになった真治との関係は再構築されていき、2人の間には再び愛情が芽生え始める。同じ頃、とある一家惨殺事件が発生し、その生き残りの少女あきら(恒松祐里)が謎の少年・天野(高杉真宙)と行動をともにしていたが、その周辺では不可解な現象が続発していた。彼らに密着取材を行うジャーナリスト・桜井(長谷川博己)は天野達から自分達が地球を侵略しに来た宇宙人であることを告げられる。一方鳴海も真治から自分が真治の身体を乗っ取った侵略者であることを告白されるのだが…。
監督・脚本:黒沢清、原作:前川知大、脚本:田中幸子、音楽:林祐介、撮影:芦澤明子、美術:安宅紀史、照明:永田英則、編集:高橋幸一。

 

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   小さな町で起こった事件をやり過ぎなほどの演出と音楽でクローズアップしていく前半部分から実相寺回のウルトラセブンのような怪奇ドラマのムードが漂っていて非常に楽しく、普通に今時のSF映画と思って見ていたらなんじゃこりゃ、となる可能性高いし実際に珍品でもあったけど、原作付きでありながらもかなり黒沢清らしい映画になっていて凄く面白かった。

 

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    役者に関しては宇宙人のキャスティングが良くて、とりあえず松田龍平はいつものままで宇宙人だった。他の宇宙人2人、「仮面ライダー鎧武」でいい味出してた高杉真宙は不気味と無邪気さが張り付いたような顔付きで人間以外の存在感が出ていたし、恒松祐里は身体能力の高さに超人感があった。あとちょっとだけ出てきた前田敦子も良かったし、政府の人間役で出てきた笹野高史は「クリーピー」に引き続きの印象もあって、登場の瞬間から笑えた。

 

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   しかし役者で、というより映画として一番良かったのは長澤まさみで、長澤まさみ史上最高だったんじゃないか、と思った。ほぼ全篇ぷんぷん怒ってるだけなのに魅力的というのは何なんだろう。普通の人がイライラ怒ってたら気分悪いのだけなのに。『ツインピークスリターン』のナオミ・ワッツと並んでぷんぷん演技が可愛くて最高だった。

 

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    あと、『リアル』でかなり気合い入れて恐竜作り込んだりしていたからCGで非現実を描くこと自体に興味が無いわけではないと思うのだが、宇宙人侵略場面はかなり安っぽくて、そこは味があるとも言えなくはないけど、黒沢清の本気の終末映像を見せて欲しいとは思った。

 

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    それとWOWOWでやったスピンオフというかサイドストーリーのドラマ版『予兆 散歩する侵略者』も観た。こちらはよりホラー、サスペンス要素が強めで、より黒沢清テイスト全開という感じになっていて、2話辺りまでこちらの方が面白いのでは?と思ったが、主演2人(染谷将太夏帆)の熱演が抑制的な演出と合わなく感じたり、物語の展開そのものが主軸になっていたりで段々と興味が薄れてしまって、『散歩する侵略者』の面白さの肝が長澤まさみ松田龍平の夫婦漫才にあったことを改めて認識することになった。

 

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【動画】映画『散歩する侵略者』予告編 - YouTube

 

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