冷戦末期、英国秘密情報部M16オフィスでM16主任のグレイ(トビー・ジョーンズ)、CIAのカーツフェルド(ジョン・グッドマン)は諜報員ロレーン(シャーリーズ・セロン)からベルリンの壁崩壊直前の東ドイツにおける任務報告を受けていた。M16現地リーダー、パーシヴァル(ジェームズ・マカヴォイ)やフランスのスパイ、デルフィーヌ(ソフィア・ブテラ)らの暗躍、情報提供者スパイグラス(エディ・サーマン)の亡命作戦など、ロレーンは機密のスパイリストを巡る驚くべき争奪戦の模様を語り出す。
監督:デヴィッド・リーチ、脚本、製作総指揮:カート・ジョンスタッド、プロデューサー:シャーリーズ・セロン、原作:アントニー・ジョンストン、サム・ハート、撮影監督:ジョナサン・セラ、プロダクションデザイナー:デヴィッド・ショイネマン、編集:エリザベト・ロナルドスドッティル、衣装デザイナー:シンディ・エヴァンス、音楽監修:ジョン・フーリアン、音楽:タイラー・ベイツ。
冒頭から鳴り続ける80年代を軸にしたBGMは選曲のセンスが良いし、好きな系統の音楽ではあったけど、ほとんどミュージックビデオのような鳴りっぱなしの使い方だったので、そのテイストが80年代そのものの表現になっているのは理解しつつも劇伴としてはうるさく感じた。それだけに痛みと重みを感じさせながらも虚構ならではの軽みと外連味に溢れたシャーリーズ・セロンのアクションをタップリと見せつける後半の長い肉弾戦では、音楽がピタリと鳴り止むことによってシーンの凄味をより際立たせてもいた。
そんな感じで作品トータルがどうだったかというより、とにかくシャーリーズ・セロンのアクションだけでお値段以上の価値と楽しみがあったので、せっかく孤高のヒロインとしてのカッコ良さだった主人公が最後は結局飼い犬的立ち位置に落ち着くという致命的ガッカリポイントを抱えつつも十分満足な映画だった。