NYを訪れた雷神のソー(クリス・ヘムズワース)とロキ(トム・ヒドルストン)はドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)の助力で故郷アスガルドから消えた父オーディン(アンソニー・ホプキンス)と再会し、世界の終末〈ラグナロク〉が近づいていることを知らされるが、そこへ強大な闇の力を持つ女神ヘラ(ケイト・ブランシェット)が現れソーはグランドマスター(ジェフ・ゴールドブラム)の支配する惑星サカールへと飛ばされてしまう。ヘラはアスガルドへ向かい、門番スカージ(カール・アーバン)を配下につけて瞬く間に侵略し、ヘイムダル(イドリス・エルバ)ら残党勢力も窮地に陥っていた。一方ソーたちは旧友ハルク(マーク・ラファロ)や元アスガルドの凄腕戦士ヴァルキリー(テッサ・トンプソン)と合流、サカールからの脱出を図るのだが。
監督:タイカ・ワイティティ、脚本:エリック・ピアソン、製作:ケヴィン・ファイギ、撮影監督:ハビエル・アギーレサロべ、プロダクションデザイナー:ダン・ヘナ、ラ・ヴィンセント、編集:ジョエル・ネグロン、ゼン・ベイカー、コスチュームデザイナー:マイェス・ルベオ、視覚効果:ジェイク・モリソン、音楽:マーク・マザースボウ。
楽しかった。それだけと言えばそれだけだけど宇宙船や異星人の大胆なデザインを導入して『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の世界観と従来のマーベル世界の橋渡し的役回りまで担いつつ戦隊モノの女幹部みたいなコスでも許容されるところまで持ってきたマーベルの何でもアリぶりは驚愕。女幹部のコスチュームに関しては元々東映がマーベルと提携していた時期にジャック・カービーのデザインを戦隊モノで使用していたということらしいのだが、それにしても何とかアメコミの派手なデザインをシックに落とし込んで万人受けさせる為に腐心してきたことを考えると、現在のマーベルの自信は相当なものだと思えるよ。
あとピコピコ音のマーク・マザースボウのサントラはフレッシュだったし、ソーとロキのやおい感含んだ兄弟漫才を十二分に盛り込んだ辺りも分かってるいるな!というところで、こちらがマーベル映画に求める部分はちゃんと網羅してくれていた。不満があるとしたら浅野忠信の扱いか…。ヒーロー物の宿命として強さのインフレが進行し、初期の補助的ヒーローの居場所が消えていくというのがあるが、まあドラゴンボールのヤムチャみたいにギャグキャラとして置かれるよりはいいのかも知れない。とは言えもう少し大事にしてあげて欲しかったよ…。それでいくと、ソーの彼女の扱いも酷かったけどね。
ストーリーはアスガルドの民が難民のメタファーになっているようなところもあって社会的な問題意識も一応感じさせる(?)が、事態の深刻さに比してノリはあくまで軽いし、市民がみんなで宇宙船に乗って大宇宙に漕ぎ出す展開は難民問題というより昔のSFノリなんだろうな。マクロスとかイデオン的な。
映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』日本版予告編 - YouTube