2018-06-12 殺人出産 (講談社文庫) / 村田 沙耶香 『世の中』で自明のこととして幅を利かせる男女間のモラルや性の常識、さらには生死に関わる価値観までを、特に抑圧を受け続けてきた女性の側から揺さぶりをかける部分がかなりストレートで、SF小説として読んでいると少しゲンナリとなりつつも、そこが道徳観の揺らぎと気色悪さを醸し出して各作品を貫く独特のデストピア風情を作り出してもいたので、そこは同時に作品の魅力ではあった。ただ個人的にはもう少し突飛な設定に屁理屈でリアリティを与えてSFにしてほしいとは思った。