SF大賞なので一応積んでたら映画が公開になっちゃうので読んだ。
忽然と現れた謎の球体を『海』と呼称して研究したり、地域が謎の力の影響下にあったりと『ソラリス』や『ストーカー』と言ったような王道?SFのジュヴナイル版と言った側面もありつつ、基本はふんわりして甘酸っぱい青春小説になっていて読み易く面白かった。
主人公がおませで理屈っぽい少年なのも物語を陽性にしていて楽しく、そんな彼が自分なりに『ペンギン』や『海』が現れる謎を解こうとすることと異性である『お姉さん』を理解しようとすることが重なって科学的探求心がいかにロマンチックなものかが浮かび上がったり、登場人物たちそれぞれが決して手に入らないものを希求している切ない青春ぶりが理系の探究心の原動力に見立ててあるのも感動的だった。