状況が判然としないままに襲来してくる謎の敵を迎撃する展開(エヴァ、進撃の巨人、雪風、etc…)は娯楽作品として大体面白いものの、事態が解明されていくにつれて失速していくことも多い。なので本作のように謎を解き明かしつつもそこで浮かび上がる世界がまだまだ魅力的で楽しいのはかなり稀有なことに思えた。そこはフォスを中心とした予測不能でありつつも共感から逸脱しないバランスのキャラクター作りや場面ひとつひとつの絵作りの面白さがあってこそで、やはり『宝石の国』はSF漫画として凄く面白い、ということを改めて感じる最新刊だった。