強盗犯(ロイ・シャイダー)、不正の発覚した銀行家(ブルーノ・クレメル)、テロの実行犯(アミドゥ)、殺し屋(フランシスコ・ラバル)。それぞれ国にいられなくなり、過去や名前を捨てて南米の国ポルヴェニールにやってきた4人の男たちは、1万ドルの報酬と引き換えに、南米のジャングルで反政府ゲリラによって爆破された油田の火災を鎮火させるための危険なニトログリセリン運搬の仕事を引き受け、ジリ貧からの逆転の賭けに出る。
監督・製作:ウィリアム・フリードキン、脚本:ウォロン・グリーン、原作:ジョルジュ・アルノー、撮影:ジョン・M・スティーブンス、ディック・ブッシュ、美術デザイン:ジョン・ボックス、美術監督:ロイ・ウォーカー、衣装デザイン:アンソニー・パウエル、録音:ジャン=ルイ・デュカルメ、編集・製作補:バド・スミス、音楽:タンジェリン・ドリーム、スタント指導:バド・イーキンズ。
冒頭からの畳み掛ける編集のテンポ、切れ味、世界の残酷をそのまま凝縮したようなジャングルの中での重苦しくもハイテンションで緊張感溢れるアクション、それでも僅かに見える希望、1977年の作品とは思えない、とは言え今作るのも無理な傑作だった。
主人公たちそれぞれを紹介する導入部から凄くて、エルサレムでのテロ実行からアジト急襲までのドキュメンタリータッチのリアルなアクションはこれだけで一本の映画にして欲しい出来だし、他の3人の物語も同様に独立して映画になる密度を持っていた。
そしてジャングルでニトログリセリンを運搬して行く本編は、人間が生きることそのものをとんでもなく大掛かりなセットを組んでのリアルなアクションで描いていく凄まじさだった。日常世界では相容れないはずの男たちが死と隣り合わせのジャングルの中で奮闘する姿はまさに地獄めぐりなのだが、彼らの駆るトラックの顔面は悪魔にしか見えなかったりして、それには冒頭部分の俗世間で描かれた俗物的宗教との対比もあって、神々しさすら感じさせられた。シンプルなプロットとアクションのみであぶり出される社会の残酷な構造と問題点は今でも全く古びてなく、驚くほど現代的で、完全版として2018年に劇場公開する意味の大きい作品だった。