yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

ミスター・ガラス (2019年・米)

   不死身の肉体と悪を感知する力を持つデヴィッド・ダン(ブルース・ウィリス)は息子(スペンサー・トリート・クラーク)とともに警備会社を運営しつつ影で法で裁かれない悪党を退治する自警団的活動を行なっていたが、少女を誘拐していた24の人格とそれに伴う特殊能力を持つケヴィン(ジェームズ・マカヴォイ)を追跡中にケヴィンともども警察に逮捕され、精神病院に収容されてしまう。そこではステイプル医師(サラ・ポールソン)が自らが特殊能力を持ったヒーローだと錯覚した患者の治療を行なっており、かつてデヴィッドの能力を自覚させる列車脱線事故を引き起こしたミスター・ガラスことイライジャ・プライス(サミュエル・L・ジャクソン)も収監されていた。3人は本当はただの人間であることを受容するよう強制治療を施されるが、ステイプルやミスター・ガラスにはそれぞれ隠された思惑があった。

監督・脚本・製作:M.ナイト・シャマラン、製作:ジェイソン・ブラム、撮影:マイケル・ジオラキス、編集:ルーク・シアオキ、ブル・マーレイ、音楽:ウェスト・ディラン・ソードソン。

 

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   相変わらずオープニングが素晴らしくて、今回も掴みはオッケー、グッと引き込まれたが、映画としてはかなりの珍品だった。しかしシャマラン作品として泣いた。あとちゃんとアニヤ・テイラー=ジョイが出てたのも良かった。以下はネタバレで。

 

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    超人的能力を保持する者が実在していて、その力を社会において個人的思惑と指向性で存分に発揮出来る自由を獲得せんとする、という一体どこを向いて作品作っているのか意味不明な(というかエリート主義に直結しそうな)ストーリーながら、そんな素っ頓狂な話を大真面目に語ろうとする姿勢含みで世のハズレ者の共感を誘わずにはおれないし、実際キャラクターの心情に引き込まれて、ラストのミスター・ガラスの奮闘から彼自身の名を冠したタイトルがどーんと出てくる流れにウルっと来た。が、同時にちょっと待て、こいつは単なるヤバイ人だし大量殺人犯だよというツッコミも脳裏に浮かび上がるといういかにもシャマラン作品的な味わいがあった。

 

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   主人公たちの能力が実際にスーパーヒーロー的な超能力なのか、それとも科学的説明のつく人よりも少しばかり優れた特技を持っているだけなのか、最後まで微妙なところで描いているのも良くて、終盤の能力バトルも単なる力持ちのケンカに見えなくもない。それでその映像を拡散して人々がヒーローの存在に気づくというラストも、普通に考えればこんな映像で、しかも映像の信頼度が限りなく低く、実演出来る人間も存在しない状況でネットを見た人々の意識が変革される訳はないだろうと思ってしまうのだけど、ここでもシャマランがどこまでキャラクターたちの信念を信じてやってるのか曖昧ながら、何となく本人は信じていそうだというのが妙な感覚にさせてくれて味ではある。

 

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    それと、前作『スプリット』での『アンブレイカブル』まで遡ってのまさかのシャマランユニバース開始という展開が早速今作で(恐らくは)幕を閉じるということになっていて、それをブルース・ウィルスの息子役含めてちゃんとオリジナルキャストが集結して迎えたことで、この大団円的作品に18年間の時間の重みが加わってなんだか厚みのある作品みたいにもなっていたよ。

 

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『ミスター・ガラス』予告編2 (2019年) - YouTube  

 

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