毎日学んだことをノートに記録し、疑問に思ったことを解明している小学4年生のアオヤマ君(北香那)は、通っている歯医者のお姉さん(蒼井優)と仲良しだが、彼女については全く謎のまま。そんなある日、彼らの暮らす街に突然ペンギンが現れる。海もないただの住宅地になぜペンギンが現れたのか。アオヤマ君は謎を解くべく研究を始めるが、そんな折、お姉さんが投げ捨てたコーラの缶がペンギンに変身するところを目撃する。
監督:石田祐康、脚本:上田誠、原作:森見登美彦、キャラクターデザイン:新井陽次郎、音楽:阿部海太郎、アニメーション製作:スタジオコロリド。
原作の要素を損なうことなく丁寧に映像化していて、同じ森見作品のアニメ化でも作家性全開の『夜は短し〜』とはまた違った魅力の、清々しさとほろ苦さを併せ持つジュヴナイルSFだった。ただ声優のキャスティングにはちょっと違和感あったかな。
余計なエピソードを加えずに作品を終わらせているところも良くて、下手なエピローグなど加えず、決して届かないからこそ、それぞれが決して届かない何かを希求している姿が心に響くという作品の肝を大事にしてあって嬉しかった。