北宇治高等学校吹奏楽部でオーボエを担当する鎧塚みぞれ(種崎敦美)と、フルートを担当する傘木希美(東山奈央)は、高校生活最後のコンクールでの自由曲「リズと青い鳥」のソロパートがうまくかみ合わずにいた。みぞれにとって世界そのものの希美と、希美にとってはそうではないみぞれ。それぞれのかみ合わない歯車の合わさる場所を童話のリズ(本田望結)と青い鳥の物語に重ねて探し続ける青春の物語。
監督・絵コンテ:山田尚子、脚本:吉田玲子、キャラクターデザイン・総作画監督:西屋太志、監修:石原立也、美術監督:篠原睦雄、楽器設定:高橋博行、色彩設計:石田奈央美、撮影監督:高尾一也、3D監督:梅津哲郎、音響監督:鶴岡陽太、音楽:牛尾憲輔、アニメーション制作:京都アニメーション。
京都アニメーションがこれまでに培ってきた細やかな仕草、所作による表現の積み重ねによる空気感の演出そのものを長編映画に昇華した京アニ文芸方面の集大成的作品で、醜悪さも含んだ感情を描きながらもアニメだからこその清潔感を保った美しさにやられた。嫉妬の中に憧憬と憎しみを織り交ぜた繊細な表現が新鮮で美しいアニメーションによる青春映画の傑作だった。