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Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

丕緒の鳥 (ひしょのとり) 十二国記 5 (新潮文庫) / 小野 不由美 著

 本編では日の当たらない末端の役人たちの仕事ぶりを描く短編集。シリーズのディテールをより深める意味合いを感じつつ個人的には初めて物語に乗れなかった。例えば死刑制度を考察する『落照の獄』など、このシリーズでは現実世界の諸問題も俎上にあげて語れるということだろうし、テーマ自体は興味深いが、シリーズの出発点から現実世界と異質のリアリティを構築してきた経緯からすると、ここで現実社会のリアルに寄っていくことに違和感を覚えた。人間を構成するメカニズムが全く異なる十二国記の住人の死生観で現実世界の法制度をトレースして語ることは物語世界のリアリティにそぐわないし、物語世界側の突飛な性や死の設定を掘り下げたほうが面白そうだと思えてしまった。

 

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