yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

書籍

拝み屋怪談 花嫁の家 (角川ホラー文庫) / 郷内 心瞳

一作目を読んでそのまま二作目に行くつもりも絶版状態だったのだが、ちょうど復刊していたので購入。ノンフィクションと虚構の合間を縫うような実話怪談話というのはそのままだが、今作は主人公の逡巡からヒロイックな決断という構成などフィクションとして…

墓地を見おろす家 (角川ホラー文庫)/小池 真理子

先日読んだ『死者はまどろむ』より前、小池真理子がホラーとして最初に書いた作品、らしい。よりオーソドックスなスタイルのホラーだが、非常に丁寧でネットリしていて面白かった。

映画創作と自分革命 映画創作をめぐって/石井岳龍

勢いとパッションで映画を作り上げるイメージの監督が、歳を重ね経験を積む中で模索し構築していった創作理論が開陳されていて、初期衝動の塊のような初期作から徐々に作品が変容していった裏側を垣間見れたようで面白かった。 ここで語られる理論が自身の見…

『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界(扶桑社)/牧眞司

なぜ『けいおん!』の作品世界に惹かれるのか、主に作品内の関係性に着目しつつ作品への好き、面白い、気持ちいいをひたすら言語化していて、非常に熱い。なので『山田尚子監督の世界』というサブタイトルはついているものの、語られるのはほぼ『けいおん!…

花に嵐の映画もあるぞ(河出書房新社)/ 川島 雄三

新聞、雑誌へのコメントや座談会、映画シナリオで構成されていて、当時の映画界の状況や多士済々ぶりなどを感じられるのは面白かった。基本的に宣伝媒体上の発言の切り取りなので川島雄三の作家性に迫るというものではないけれど、短いながらも各作品ごとに…

アグレッサーズ 戦闘妖精・雪風/神林長平

奇抜なアイデアで姿を消した敵(ジャム)を何とか炙り出し、特殊戦の存在意義を維持して物語を続けようと画策するクーリィ准将は、完璧だった一作目『戦闘妖精 雪風』以降の、ひょっとしたら蛇足となるかも知れないシリーズの継続に奮闘する神林長平のほとん…

サイボーグブルース (角川文庫)/ 平井 和正

言及されまくりだろうけどサイボーグの悲哀と暴力性は『ロボコップ』を遥かに先取りして描いているし、鬱蒼とした未来感はのちの『ブレードランナー』に先行してる。アクションシーンの描写も現行のSF映画や漫画のバトルシーンを先駆けている。で、今読んで…

グイン・サーガ・ワールド2 (ハヤカワ文庫JA)/天狼プロダクション監修

一巻目だけ読んで何年も放置してた『グイン・サーガ・ワールド』をなぜか今さら読み始めた。楽しい。栗本薫が亡くなって時間が経った今だから色々と気持ちが整理されて素直に読める状態になったのかな。別作者の正篇の続きも読もうかなって気になってきた。1…

拝み屋郷内 怪談始末 (MF文庫ダ・ヴィンチ) / 郷内心瞳

Twitterで面白そうだと思って買ってから6、7年は経過してる気がするが、やっと読んでみた。夢枕獏の九十九乱蔵みたいなお化け退治的小説かと思いきや実話(?)怪奇・怪談集の体裁で、語られる内容と語り手の立ち位置そのものに不思議な感覚があって面白かっ…

死者はまどろむ (集英社文庫) / 小池 真理子

面白かった。またしても作家をイメージで敬遠していた過ちに気づくシリーズだったよー。というかミステリ作家ってやっぱり文章レベルが高い人が多いのかな。スプラッタ要素ゼロ、しかも古典的なモンスターを扱いながら上質でモダンなヤバい田舎集落ホラーに…

ファニーフィンガーズ ラファティ・ベスト・コレクション2 (ハヤカワ文庫 SF )/R・A・ラファティ著、牧眞司 編、伊藤典夫、浅倉久志ほか訳

文明批評のようにも読める『スロー・チューズデー・ナイト』や、『一期一宴』のような痛快なホラ話など、そのどれもが扱う題材に関係なく、SF的発想に溢れてミステリアスさとユーモアが同居している楽しいアンソロジーだった。なかでも表題作『ファニーフィ…

町かどの穴──ラファティ・ベスト・コレクション1(ハヤカワ文庫SF)/R・A・ラファティ著、牧眞司 編、伊藤典夫、浅倉久志ほか訳

ラファティは長編しか読んでいなかったので(SFマガジンの特集号も未だ寝かせたままだった!)、奇想が凝縮された短編集は印象の違った面白さがあった。世界の捉え方自体が随分おかしいので、短編が終わるまでにストーリーへの理解が追いつかない作品が多い…

世にも不思議な物語 世界の怪奇実話&都市伝説 (扶桑社ミステリー)/ レノア・ブレッソン著・尾之上浩司訳

実話の再現ドラマという触れ込みのテレビ版をノベライズしたものとはいえ、どの作品も良質な幻想小説として面白く、それを実話を紹介する体で並べているのがいい味になっていた。年代も現代から随分離れているので、ホントにあった怖い話を求める人には物足…

中世社会の基層をさぐる (山川出版社)/勝俣鎭夫

前方に未来を見るという現代の認識が中世のある時期から始まったものであり、それまでは前方に過去が拡がっていたという精神構造のシフトに関する一章のSF的な思考や、中世までは家そのものに人格を見て社会が動いていたという民俗学を援用した諸星大二郎的…

映画の奈落: 北陸代理戦争事件(国書刊行会) / 伊藤彰彦

深作欣二監督、高田宏治脚本、松方弘樹主演による1977年の東映映画、『北陸代理戦争』の制作過程を追ったドキュメンタリー。後追いで映画に触れた身としては同じ深作映画とはいえ、鮮烈な北国の風景が印象的過ぎで「仁義なき〜」と比較して観てはなかったの…

恐怖(文藝春秋)/ 筒井 康隆

ここ最近以外の筒井作品は、ほぼ読んでいると思っていたが、これは読んでなかった。というかこれ、筒井康隆が老人になって書いたイメージで、わりと近頃の作品な気がしてたが2004年刊行だから既に15年以上前の作品か。ヤバいな。ドタバタやりつつ主人公が段…

安達としまむら10 (電撃文庫)/ 入間 人間

作者が言ってる通り、殆どがエピローグ的な内容なんだけど、どれも秀逸すぎる。安達が家を出るエピソードの母娘の距離感の描き方とか凄い。他のエピソードでも主人公2人以外の関係性は相変わらず予定調和に収束させず、ただあるがままに冷徹に見据えながら、…

ある映画の物語(草思社)/フランソワ・トリュフォー著・山田宏一訳

いくら作家主義を標榜していようが、映画づくりは集団作業によって進行し、その作用でフィルムが決定付けられることを改めて教えてくれるドキュメントとして面白かった(今だとスマホで一人で作る選択肢もあるが)。フェリーニ作品のように映画監督の孤独と…

アムネジア(角川書店)/稲生 平太郎

犯罪に巻き込まれ、闇社会に入り込んでいくスリリングな物語として楽しんでいると全く別次元の世界に入っていき、デビッド・リンチ的な展開を楽しめた。作中人物が物語自体を語るメタ小説のようでもあり、純粋に超常的な物語の展開するオカルトSFとしても読…

リュシエンヌに薔薇を (世界の短篇シリーズ・早川書房)/ローラン・トポール著・榊原晃三訳

どれも諧謔性に満ちた悪夢の断片のイメージから構築されたような掌編で、オチのない短い夢をそのまま書き起こしたようなものも多数。なので単体では薄味なものも多かったが、作品の根底に一貫して流れている世界への不信が度を過ぎていて、まとめて読むとか…

一度きりの大泉の話(河出書房新社)/ 萩尾望都

竹宮惠子との訣別などシビアな内容も含まれていたが、上品さと素っ頓狂な可愛らしさの中にクリエイターとしての我の強さが垣間見える語り口調の文体に萩尾望都の漫画世界と同様のムードが感じられて心地良く読めた。本人は大泉時代をトキワ荘になぞらえられ…

殺人鬼〈2〉―逆襲篇 (新潮文庫) / 綾辻 行人

シチュエーションを変え、殺戮方法を一層エスカレートさせてバージョンアップ、前作同様ミステリ的な仕掛けもあるのでスプラッター映画の続編にありがちなマンネリと恐怖への慣れを感じる事なく読んだ。しかし、より過剰さの増した暴力描写は当時の時代状況…

殺人鬼 (新潮文庫) / 綾辻 行人

作者も自身が非暴力的で気弱な人間であることをあとがきでことさら強調するほど暴力的で残虐なスプラッター小説だが、綿密な人体破壊描写はマニアックなスプラッター映画に感じる作り手の新しい表現、見せ方を提示してやろうという懸命な情熱と同種の清々し…

蜜蜂と遠雷(幻冬社) / 恩田 陸

ピアノに燃えていた娘に読ませようと思って買っていたものの(未だに燃えてる)、先に映画版を観たのもあって長らく積んでいたが、ようやく読んだ。で、やっぱり恩田陸は面白かった。ピアノコンクールを舞台にして、バトルマンガさながらに、初回より2回目、…

ブラック・ユーモア選集〈1〉幻の下宿人(早川書房)/ローラン・トポール著、榊原晃三訳

久々に読書しながらヤバい、ヤバいよ〜と興奮。ローラン・トポールが誰なのか分かってなかったが、表題作の『幻の下宿人』を読んでいて、なんか知ってる話だと思ったらポランスキーの『テナント』の原作だった。というかトポールはヘルツォークの『ノスフェ…

ワシントン・スクエアの謎 (論創海外ミステリ)/ ハリー・スティーヴン・キーラー 著、井伊順彦 訳

貰っていたので前情報皆無で読み始めたら偶然が偶然を(無理矢理)呼ぶ御都合主義と、推理する行為が好きな読者なら怒りそうな展開にナニコレという気分にもなったが(あとからこの作者はそういう人として、その筋では有名と知った…)、主人公が事件に巻き込…

流 (講談社文庫) / 東山彰良

青春小説としても台湾の一時代を切り取ったドキュメントとしても面白かったが、何より主人公の見る景色や経験がまるで作者の実体験のようなリアリティで迫ってきて、そこに幻想的な光景が違和感なく入り込んでくる様が小説を読む醍醐味を存分に味あわせてく…

高い城の男(ハヤカワ・SF・シリーズ) /フィリップ・K.ディック 著、浅倉久志 訳

ディックの代表作のひとつというのに初めてちゃんと読んだ。本物と紛い物というモチーフが作中のアイテムのみならず物語世界の存在自体にも仕掛けてあって、全編をリアルの不確かさが覆い尽くす感覚がハードボイルドな雰囲気と併せていかにもディック的で、…

フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉(講談社) / 神林 長平

いつも通りに言葉と世界を題材として扱いつつもアニメ化されてもおかしくなさそうなキャラクター(ニートの中年だけど)が登場して軽妙な掛け合いが楽しめる作りは久しぶり。当然面白かった。キャラも立ってるし、サブタイトル(?)に〈倭篇〉と謳ってて、『…

冷血(上・下) (新潮文庫) / 髙村 薫

被害者と加害者の運命の交差路までの道程が綿密に描かれ、何気ないエピソードが物語としての事件の伏線となり、そうして発生した事件に現実の凄惨な事件を目の当たりにした時と同様の感情に襲われ、というところまでで犯罪小説として存分に面白いのだけど、…