期待と不安半々だったが紛うことなきホドロフスキー、というか構成的にはエル・トポと一緒だ。ただ序盤はアクションの代わりに自伝物語だったので血湧き肉躍るというのは無い。しかし鑑賞後に感動の余韻が残るというのは新鮮だった。
家族総動員で作ってるのは予算の関係もあるのかも知れないが、役者として出ている息子も、別の息子がやってる音楽も良かった。
で、中身だが、序盤は本の逸話そのままの映像化で、今風な質感に戸惑ったが、すぐに今の映像の色合いと色彩が気持ち良くなった。そして書籍では途中からサイコマジック実践編に突入していきクラクラしたが、映画では過去改変ホドロフスキー父の巡礼篇へ突入。高尚かつ下品、ギャグと紙一重もしくはギャグそのものの常軌を逸した思考の映像化が展開していて、最後はフィクションを現実の中で輝かせる手腕と、ちょっとおセンチなノスタルジーに涙が出てくるという素晴らしさだった。