yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

君がいなくちゃだめなんだ

    絵本作家の楓アン(花澤香菜)は長いスランプに陥っていたが、毎日を飼い猫ペローとのんびり過ごしていた。そんなある日、ペローが忽然と姿を消してしまう。行方不明になったペローを探しに出かけた彼女は、街のあちこちに奇妙なメッセージの記された伝言板を発見する。それはアンの幼い頃に亡くなった小説家の父・光平(小木茂光)からアンへの不思議なメッセージだった…。監督ムラカミタツヤ、脚本倉田健次。

     主題歌絡みのタイトルや微妙に短い尺からみても、これは人気声優のプロモーションだよな、なのでこちらとしても花澤さんと北川勝利の音楽を楽しめばいいかな、という非常にハードルを下げた状態で臨んだのだけど、意外と映画として楽しめた…。

    冒頭からソフトフォーカスの過剰にぼんやりした画面で、これはアイドル映画を要請されつつも、花澤香菜をアイドルとして撮るにはいささか薹が立っているからぼやかして撮影しているのかな、しかしそれは花澤さんに失礼だろうとか思って観ていたが、中盤からの展開でそんな映像も訳あっての計算と判明(というか、最初からそうじゃないとおかしいとは誰もが思うんだろうけど)。全く曇天に見えない降雨のシーンも含めて許せる作りに。

f:id:yudutarou:20150405212817j:plain

    そして基本的命題である花澤香菜映画としては、本人がほとんど出ずっぱりというのに加え、色々な隙間にモノローグを、しかも楓アンとしてでなく別キャラクターとしても挿入していき、映画全編を花澤香菜の音声で支配してしまうという荒技で達成させていた。やるな。

     物語自体も、父娘の話を軸にしつつ、物語ること記憶することもテーマにすることでアイドル論、声優論的な視点も獲得していて、最終的に何が言いたいのかは実はよく分からないものの映画を多層的に楽しめる厚みになっていて、これも楽しかった。

    冒頭のニューヨークのシーンは何の必然性もないばかりか、終わってみると世界観をも壊しかねないシークエンスだったし、絵本の筋と映画の物語がシンクロしているようで、よく考えると世界と個人の比重という問いかけに対しての結論はよく分からなかったり、などなどイマイチ釈然としない部分も少なくなかったが、最初のハードルが低かったのと、花澤香菜好きというところで、そこら辺は許容範囲になっちゃった。結局面白く観れたので良かったよ。


f:id:yudutarou:20150405212635j:plain


↑なぜか映画と関係ないスチールのブロマイドを来場者特典でいただく