一定の利益を上げて裏社会から抜け出そうとしていた麻薬ディーラーの主人公(ダニエル・クレイグ)は、取引先のボスから依頼された知人の娘の捜索と、愚連隊同然のギャング団との高額な麻薬取引の中で身動きがとれなくなっていき、身内や他国の殺し屋からも命を狙われる状況に追い込まれていく。首尾よく裏の仕事をこなして足抜けを目論んでいた主人公だったが、自らを守る為により一層暴力と裏切りの世界へとはまり込んでいく…。マシュー・ボーンの初監督作品。
日本と違って組織の目上の人間ともフランクに会話を交わす風土もあって上下関係が分かりづらく混乱するが、騙し合いやサスペンスの醍醐味が揃った犯罪映画の佳作。突発的な暴力シーンだけを独特の切り口で演出してみせたりするなど各所に作り手の気合が感じられた。
ダニエル・クレイグが渋さに到達する手前の2枚目だったり(ただし既に怖い)、『新スタートレック』のオブライエンの人(コルム・ミーニイ)がヤクザ者で出いたり、若きトム・ハーディが見られたり、とキャスティングにもちょっとしたお得感が有り。