『海街diary』が素晴らしかったので、同じく美人姉妹が主役の今作に興味を惹かれたのだが、全く違った(当たり前だ)。
とにかく見ていてムズムズするところ続出だった。
突然キャンディーズという単語が会話から出てきて、それが商店街のお祭りで三姉妹がキャンディーズを歌うシーンへ繋がったり、駅へ向かう津田寛治の背景から商店街のオヤジたちの飲み会へと移行させたりというのが、スムーズな場面展開だろうと言わんばかりなのだが、いかにも取って付けたような作りと物語としての意味の無さだけが印象に残る。
そもそもいい歳して仲良く三人揃って地元の祭りでカラオケ歌うというのはどうなんだというのもある。
エンドロールで表示される協賛団体からしても明らかに御当地宣伝映画でもある今作なのに、タイトルになっている六月燈がどんな祭りなのかも結局よく分からず、また映画に必要なすべての情報を喋ってくれる素朴ながらも噂好きというステレオタイプな商店街の地元民の描き方(井上順の役とか最低である)も、それでいいのかと。
最終的な物語の解決自体、それ絶対幸せになれないだろうというような行為を平気でハッピーエンド的に見せてしまうとか(まあ鹿児島が保守的な地域であるということの自慢とも解釈出来るけど)観ていてモヤモヤが止まらない。
しかし出てくる人物の共感出来なさ加減(押しの弱さの中に強引さの見え隠れする絶妙な津田寛治の演技は楽しかった)や面倒くささ、三姉妹のビジュアルを見ていると、見た目から物語まで理想的なファンタジーである『海街diary』の対極をいくリアルな家族物語と言えなくもない、とも思ったりしたが、それでだけにそれぞれが何となく丸く収まっていくという物語の収斂が気持ち悪かったりもするので、やはりちょっと苦手だ。