卵を産み続けなければ屠殺される運命の養鶏場の雌鶏ジンジャーは、自由な世界を夢見て仲間たちと外の世界への脱出を画策していた。そんなある日、空を飛べるという雄鶏ロッキーが養鶏場に現れ、ジンジャーたちは空の飛び方を学んで脱走しようと企てる。しかしその頃、養鶏場経営者婦人のトゥイーディーはニワトリたちをチキンパイにして売り払う計画を立ち上げていた!ピーター・ロード、ニック・パーク監督作品。
子供と鑑賞。字幕版だったので全て同時吹替え作業をしつつ観たら疲れた(つまりわりと台詞が多い)。前半部の大脱走オマージュは楽しいが物語が進むにつれてニワトリたちが主役という設定の無理が積み重なって苦しい。タマゴが取引材料になったり投げつける武器になったりで、擬人化されたニワトリの子種の扱いとしては何とも釈然としない気分にさせられる。そもそもブロイラーのニワトリたちを囚人として単純化することで子供達が観る作品としてかなり偏った価値観の提示にも思えてそこも複雑な気分になる。しかしタマゴの件も含めてブラックユーモア的な意図があることは分かる。
あと機械描写や図面での脱出計画会議などアードマンアニメーションズ作品らしさも満載だし、ニワトリキャラもよく出来てはいるのだが、犬(グルミット)や羊(ショーン)と比べるとどうしてもキャッチーさには欠ける。自由への飽くなき熱望には燃えたけど。ロッキーの声がメル・ギブソンだったのは気づかなかった。