物語的説明を排した乾いた映像での語り口は、監督の出自からして天然ではなく、多分狙ったカッコつけだと思われるが、その狙い通り、同様に異星人が登場する普通のSFとは一線を画した面白さがあった。ちょっと『地球に落ちた来た男』を彷彿とさせるムードもある。
そして日常風景をエイリアンの目線から客観的に映し出す映像が、異邦人の視点からみたスコットランドの街並みをSF的風景に変換していた。そんな、世界に馴染めない気持ちを持つ側からの眺めが、ナルシスティックではあるものの、SF好きにとっては共感を持たずにおられない感覚で、個人的にもスカーレット・ヨハンソンがダラダラ車を走らせる前半は至福の時間だった。
ミカチューによる未来的ながらも古典的SFの風情がある劇盤が雰囲気を出していて良かった。あとスカーレット・ヨハンソンの脱ぎっぷり、どてっとした姿に好感度が上がった。