障害者施設から脱走し、18人を殺害して逃走中の幼馴染みサンジュン(ヨン・ジェウク)から日本人のカメラマンを連れて廃墟となっているマンション跡へ来るように連絡を受ける。指示通りにマンション跡でサンジュンと邂逅したソヨンは、彼の殺人が神の啓示に従っているものであり、その目的は幼少の頃死んでしまった共通の幼馴染みユンジンを蘇らせることだという告白を受けるのだった…。監督・脚本白石晃士。
狂人をPOVで追ったキツいフェイクドキュメンタリーで哲学的寓話が展開されるかと思いきや最狂カップル(米村亮太朗、葵つかさ)が登場してとんでもない方向へ。撮影者(演じるのは監督自身)の眼前で狂人の予言をなぞって進行していく物語は作り手の意思で映画が出来上がっていくメタファーのようであり、そのメタ構造自体面白いが、何よりエキセントリック過ぎるキャラクター同士の応酬にグイグイ引き込まれた。
そして最終的には映画の神が降臨、しかもそれがどう見てもクトゥルー神だという驚愕の結末。最終的に映画を着地させるのが悪魔的な力というのも映画作りの業を感じさせるが、どう考えても酷い話なのに妙に感動的な余韻が残った気分になるのも狂っていて怖かった。