走るゾンビものとして充分のクオリティだった。CGと特殊メイクのハイブリッドでちゃんと気色悪いものを作ってあり、徘徊しているゾンビそれぞれのキャラクターや色付けに気配りもあって楽しかった。舞台立てや特撮に韓国映画の力を援用しているのも功を奏していたのかも。それだけに普通に世界基準の特撮映画を観ている感覚があったので物足りなさもかなり感じてしまったが。
まず冗長さ。日常描写からパンデミックでの日常崩壊までは素晴らしいのだけどその後の展開があまりにも単調だった。せっかく有村架純を美少女ゾンビにしたのにほとんど見せ場無し。後半の舞台はほぼアウトレットモールで商業施設という閉鎖空間なのも既視感あり過ぎるし、そこで展開するドラマはよくある「1番怖いのは人間」というゾンビもので何度も繰り返されてきたストーリー。しかも『ウォーキングデッド』で何時間もかけて丁寧に描いてきたドラマを短くした上に濃縮どころか薄めたような話だ(ついでに構図や映像の質感も『ウォーキングデッド』風…)。
そしてダメ男がヒーローになるという展開も納得度が低い。多分元のダメぶりが実はあんまりダメじゃないというのもある。あとボスキャラ的なゾンビも要らない。飛び抜けたやつがいることで集団の恐怖が消えてしまうのはゾンビ映画として致命的だろう(←完全に個人の趣味の問題です)。とか何とか書いたけど有村架純ゾンビをもっと活躍させて欲しかったんだよな…。