物や場所に残った残留思念を読み取ることができる特殊能力をもった仙石和彦(
野村萬斎)はその不思議な力を活かしたネタを使って相方マイティ丸山(
宮迫博之)とともにお笑いコンビ、マイティーズとして一部で人気を博していたが、能力を見世物として利用されることに疲れた仙谷は芸能界を去り、今では人目を避けて静かに暮らしていた。そんな頃、ピアノコンクールを控えた少女亜美(
杉咲花)は忽然と姿を消したピアノ教師雪絵(
木村文乃)を探すため藁をも掴む気持ちでマイティーズに捜索を依頼する。人間不信から一度は依頼を拒否した仙谷だったが、偶然触れた雪絵の爪ヤスリから残留思念を読み取り、雪絵の純真な人柄を垣間見てしまい、外の世界へ出ることを決意、丸山や刑事の佐々部(
安田章大)とともに事件の捜査を開始する。監督
金子修介、脚本
古沢良太、撮影釘宮慎治、音楽池瀬広。
雪絵が謎の人物に襲われる冒頭からタイトル場面までがもろに怪奇映画として撮られていて、ちょっとワクワクした。そして洋館で静養中の美少女(前野えま)、陽性の魅力に溢れた
杉咲花、非現実的に美しい
木村文乃など金子監督の美少女映画として申し分ない女優陣の配置で満足だった。主演の
野村萬斎はかなりエキセントリックなキャラクターで演技も過剰気味だったが作風とはマッチしてると思った。
ミステリの展開としては捻りがしつこい上にその展開に対しての説明をそれぞれ物語で見せていくので、もう少しスマートに映像で説明してくれたらスッキリ観られただろうし、主人公の特殊能力にしてもラスト以外はほとんど警察の捜査と並行していて意味が無かったりするので、であれば能力自体の真偽をもう少しボカして提示してくれると怪しさが増したと思うのだが、分かりやすさ優先だとこうなるか。
あと、主人公が一度も現実には接触していないヒロイン
木村文乃に一方的な幻視でもって憧れを抱き、事件を追う中でますます執着していくという流れはスクリーンの中の女優を追いかけていくこちら側の感情と同期してせつないし、
ヒッチコック、
デ・パルマ的な映画ならではの変態視点になっていて面白かった。