yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

ガルム・ウォーズ (2014)

    惑星アンヌンは創造主ダナンによって作られたガルムと呼ばれるクローンの8部族と、ダナンと交信する能力を持つと言われるドルイド族、グラと呼ばれ神聖視される犬、そして鳥だけで構成された世界。しかしダナンが突如惑星を去ったのち、クローンたちは長年にわたり部族間戦争を繰り広げ、今ではグラと鳥の他には空を制するコルンバ、陸地を統べるブリガ、情報技術に特化してブリガに仕えるクムタクの3種族を残すのみとなっていた。そんな中、コルンバ族の女戦士カラ(メラニー・サンピエール)は、仲間であるはずのブリガ族に追われたクムタクの異端者ウィド(ランス・ヘンリクセン)と出会う。ウィドは一匹のグラと絶滅したはずのドルイド族のナシャンを連れ、世界とガルムの謎を解き明かす為に禁断の聖地を目指しているという。クローンとして何世代にも渡り戦いを続けてきたカラは、記憶の欠落を埋めるため、偶然出会ったブリガの戦士スケリグ(ケヴィン・デュランド)とともにウィドに同行することを決意する。監督脚本押井守、脚本ジェフリー・ガン、音楽川井憲次、衣装竹田団吾

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    押井守が戦争そのものを描くと、戦闘員しかいないゲームのような世界になってしまうというのは『スカイクロラ』や著作物と同様だった。映画のテイストは出どころや制作体制が似ていることもあって『アヴァロン』に近いが、『アヴァロン』がゲームにおける電脳空間という前提での世界だったのに対して今作はゲーム世界の住人そのものの視点からストーリーが語られて(いるように見えて)いて、より直接的にファンタジー世界を描いていた。と言っても犬と鳥と兵士しかいない世界、これ幻想じゃなくて妄想だな…。

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    映像はCGを使ったアニメと実写のハイブリッドによる誰も見たことがない世界の構築という、かつてのデジタルエンジン構想の具現化ではあるが、アニメや特撮の世界でCGとの融合がハイレベルで進んだ現在では新鮮味がなく、ゲームのデモ画面を見ているような感覚にすらなった。役者のほうは、クローン戦士として生きてきた男女が初めて自我に目覚めかけ、哲学的でいかにも押井作品的な会話を交わすシーンで大袈裟な表情を浮かべる大仰さが雰囲気を台無しにしていたり、ランス・ヘンリクセンの存在感も埋没気味で勿体無かったりとかなり微妙だった。主人公とスケリグが対決するシーンでは唐突に格闘ゲームを模した演出になっていて(攻殻機動隊でもやってはいたが…)、色調やムードを統一した世界観があっさり崩壊しているのもガクッとなった。

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    とはいえ、そんな諸々は全部分かった上で好きなことをやっていて、まるで打ち切りにあった少年マンガみたいな、今回はここで終わるけど俺の妄想はまだまだ続くぞと言わんばかりの幕切れも含めて押井守の妄想の炸裂した世界、そこに川井憲次の音楽が載っているのだから楽しくないわけがなく、十分楽しませてもらったのだった。ただし犬への思い入れがちょっと度を超えているとは思ったけど…。あと諸星大二郎か物体Xという感じのラスボス良かったな。

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あと以前のデジタルエンジン構想の元でのGRMの映像↓