瀕死の吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード(坂本真綾)を救った為にその眷属となってしまった高校生、阿良々木暦(神谷浩史)。彼は自らを人間に戻すため、3人のヴァンパイアハンターが奪ったキスショットの四肢を取り戻し、彼女を完全体へと復活させる。しかしそれは人間を喰らう鬼としての彼女を蘇らすことでもあった。暦は羽川翼(堀江由衣)や忍野メメ(櫻井孝宏)の助けを借りて、最善の道を探るのだが…。総監督:新房昭之、監督・絵コンテ:尾石達也、原作:西尾維新、キャラクター原案:VOFAN、脚本構成:東冨耶子、新房昭之、脚本制作:木澤行人、中本宗応、キャラクターデザイン:渡辺明夫、守岡英行、総作画監督:守岡英行、山村洋貴、音楽:神前暁、アニメーション制作:シャフト。
短い尺の中で起承転結の後半部分だけを切り取った物語や、その物語の進行自体がキャラクターを強調してのテレビ的サービスと噛み合っていなかったりで、一本の独立した映画作品として満腹感を得られなかったのは前作までと同様だった。とは言え前作、前々作とトータルで観たとしても一本の映画になったかは疑問にも感じたけど、これは物語を推進させる主人公の動機や、抱える問題がそれほど重いものだとは思えないのに過度に深刻に受け止めるという最近多いこの手のドラマへの違和感が主な原因なので、単に好みの問題かも知れない。
デザインや作画の面白さが味わえるというのも前作までと同様で、今作では特に清々しいほどに馬鹿馬鹿しく描かれたクライマックスの格闘シーンでそれを堪能させてもらった。ただ首が飛び腕が千切れる凄惨な描写ながらストーリーの流れと設定上、緊張感やおぞましさは皆無で、この最新型日本アニメの動きの面白さに物語の重みが付加された映画が観たいな〜、という気持ちも湧いてしまった。
傷物語〈Ⅲ冷血篇〉本予告(2017/1/6全国ロードショー) - YouTube