天才ながら傲慢な神経外科医、スティーブン・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は交通事故で両手を痛め、医師としての技術を失う。あらゆる治療法を試みるも失敗し、同僚で元恋人のクリスティーン(レイチェル・マクアダムス)の慰めにも耳を貸さず落ちぶれていくストレンジだったが、偶然耳にした奇跡的な治療行為を行うカトマンズの寺院、カマー・タージを訪れることで、魔術の力に目覚め、新たなヒーロー、ドクター・ストレンジとして覚醒する。しかしそれは指導者エンシェント・ワン(ティルダ・スウィントン)、兄弟子モルド(キウェテル・イジョフォー)らとともに、カエシリウス(マッツ・ミケルセン)たち闇の勢力との魔術戦争に身を投じることでもあった…。
監督、脚本:スコット・デリクソン、脚本:ジョン・スペイツ、C・ロバート・カーギル、製作ケヴィン・ファイギ、撮影:ベン・デイヴィス、プロダクション・デザイン:チャールズ・ウッド、視覚効果監修:ステファン・セレッティ、音楽:マイケル・ジアッキーノ。
シュールレアリズム絵画の中でアクションを繰り広げるているような映像表現が気持ち良くて、CGによる世界の作り込みも行き着くところまで来たと感じた。そしてそんな中で坊主頭のティルダ・スウィントンとカンバーバッチ、マッツ・ミケルセンが真剣に中二的マンガバトルをやってくれるというのが楽し過ぎて感動した。そのバトルの舞台であるミラー次元というのが一体どういう設定なんだとか、よく考えると実はよく分からなかったりするのだが、楽しいし、気持ちいいから別に良し、という感覚で観られた。
加えてアメコミ映画として必須であるキャラクターの魅力もバッチリで、メインキャラクター以外でも同僚のダメ医者(マイケル・スタール・バーグ)やストレンジをカマー・タージに導くことになるパンクボーン(ベンジャミン・ブラット)などなど、皆いい味出していた。
なのでストーリーは不要なぐらいだが、そこに関してもラストの解決策含めて色々捻ってあって楽しかったし、ヒーローがスーパーパワーを発動するまでの過程、手段で対立軸が生まれるというのもヒーロー物としてまた一味違ったテーマを出してきた感じがして楽しめた。ドクター・ストレンジの体験する精神世界もとことん悪夢的で、勧善懲悪のエンターテイメントと作り手の趣味嗜好がほどよくブレンドされた作品だと思った。
映画『ドクター・ストレンジ』日本版予告編2 - YouTube