自信家だが生い立ちや容姿に屈折した思いも抱えた若者フレディ・マーキュリー(ラミ・マレック)はブライアン・メイ(グウィリム・リー)、ロジャー・テイラー(ベン・ハーディ)、ジョン・ディーゴン(ジョー・マッゼロ)とともにロックバンドQueenとしてデビューし、マネージャーのエイダン・ギレン(ジョン・リード)や弁護士のジム・ビーチ(トム・ホランダー)、スタッフのポール(アレン・リーチ)らと組んで世界を席巻していく。しかしフレディは成功の孤独に蝕まれ、また自身のセクシャリティによって恋人メアリー(ルーシー・ボイントン)との関係にも影が差していくのだった。
監督:ブライアン・シンガー(降板後はデクスター・フレッチャー)、脚本・原案:アンソニー・マクカーテン、製作:グラハム・キング、撮影監督:ニュートン・トーマス・サイジェル、プロダクション・デザイナー:アーロン・ヘイ、編集:ジョン・オットマン、衣装デザイナー:ジュリアン・デイ、音楽スーパーバイザー:ベッキー・ベンサム、音楽総指揮:ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー。
まずメンバーを演じる役者たちへの違和感がほとんど無くて(特にブライアン・メイの本人感が凄かったのとジョンが「ジュラシック・パーク」の男の子でびっくり)、その時代の映像へのこだわりも、これは近頃の過去を描く映画全般でいつも言っている気がするけどかなり良く出来ていて、作品世界にすんなりと入っていけた。さらにロックバンドの立身出世物語自体が基本的に面白いフォーマットな上に、有名曲をウェンブリーアリーナでいかにエモーショナルに鳴らすかに特化した作りが、史実通りでない部分や映画としての粗さを脇に置いても大舞台を体感する装置として面白さを際立たせていた。
そのウェンブリーアリーナにおけるライブエイドの場面は細部へのこだわりやCGの使い方がさり気なくも凄くて、聴衆の埋め尽くした観客席とそれに対峙するステージという構図の迫力が半端なく、完成度が高かった。ライブエイドというイベントに対して良い印象を全く抱いていないのに、思わず感動しちゃうレベル。
洋楽はそこそこ聴いてきたものの、超メジャー級ではレッドツェッペリンと並んでクイーンだけはまともに聴いてこなかった。多分最初にレンタルか何かで聴いた『QueenⅡ』の前半(今考えるとブライアン・メイが中心のサイドか?)を退屈に感じて乗れなかったのと、同じフリフリの衣装を着てもボウイのような王子様でなく面妖な容姿になるフレディのファッションセンスについて行けなかったのが大きいと思うのだが…。しかし、今作を見ちゃうとそんなファッションセンスにも耐性がつき、音楽も聴きたくなってしまったよ。
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