yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

斬、 (2018年・日)

    江戸時代末期。江戸近郊の農村で農家の手伝いをして食を得ていた浪人、都築杢之進(池松壮亮)は農家の娘ゆう(蒼井優)と淡い恋心を通わせ、その弟・市助(前田隆成)に剣術を教えながら静かに暮らしつつ、開国か否かに揺れる江戸へと出る機を伺っていた。そんな中、凄腕の浪人、澤村(塚本晋也)が村を訪れ、杢之進を江戸へと誘う。時を同じくして源田(中村達也)を頭とする無頼集団が村へ流れ着く。村に緊張が走る中、杢之進は剣術を極めんとする意志と人を斬ることへの恐れの狭間で苦悩するのだった…。

監督・脚本・撮影・編集・製作:塚本晋也、助監督・撮影:林啓史、美術:遠藤剛、殺陣:辻井啓伺、時代考証:大石学、特殊メイク・造形:陸田千春、音楽:石川忠、サウンド:北田雅也。

 

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    衝動と理性の二律背反の中でのたうち回る主人公や、メフィスト的な役どころの自身をナルシスティックに演出する辺りはいつも通りの塚本作品ながら、暴力衝動がどこか都市生活や日常からの脱出の契機となっていたような過去の作品と比べて暴力へと堕ちていく悲劇性がより強調されているかのような重心の置き所の変化が塚本作品を追ってきた観客としては興味深く面白かった。とはいえやはり塚本作品における暴力はどんなに陰惨でも、同時にどうしようもなくカタルシスに満ちていて、今作でも塚本晋也中村達也の対決が一番面白かった。久々に「野火」で登場した中村達也を連続して使うとは思わなかったが、人間味と暴力性を併せ持った達也の魅力が今作でも活かされていて、ファンとしては嬉しい限りだった。あと、石川忠との相乗効果による高揚感が見納めと思うとかなり寂しくもあった。

 

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映画『斬、』予告編 - YouTube

 

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