yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

旅のおわり世界のはじまり(2019年・日、ウズベキスタン、カタール)

    テレビ番組のレポーター葉子(前田敦子)はカメラマンの岩尾(加瀬亮)、ディレクターの吉岡(染谷将太)、AD佐々木(柄本時生)とともにウズベキスタンを訪れ、通訳兼コーディネーターのテムル(アディズ・ラジャボフ)とともに番組収録の為のロケを開始する。しかしロケは思うように進まず、スタッフが苛立ちを募らせる中、ひとり町へ出た葉子はかすかな歌声に引き寄せられて劇場へと迷い込み、歌手になりたいという自身の願望が具現化したような幻想を見る…。

監督・脚本:黒沢清、撮影:芹澤明子、美術:安宅紀史、編集:髙橋幸一、音楽:林祐介

 

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   前田敦子主演だし、『Seventh Code』からの連想で今回の前田敦子はいつ正体を現すのかと妄想していたが、そんな映画ではなかった。なので今作はこちらが勝手に期待する「黒沢清流ジャンル映画」ではなく、ちょっと苦手な「心の旅系キヨシ映画」だったんだけど、揺れるカーテン、風、何気ない暗闇の不穏さなどいつもの黒沢清成分もちゃんとありつつの前田敦子のアイドル映画としての面白さがあって楽しかった。

 

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    アイドル映画という部分では、黒沢映画には珍しく女優への執着を感じさせる撮り方が新鮮だったりしたが、田舎町の遊園地で、仕事とはいえそんなに何回も乗らせるのは見てられないと遊園地のスタッフに言われながらも、危険なアトラクションで主人公がぐるぐる回転するシーンで、実際に前田敦子本人が何回もぐるぐる回っていて、なんか無意味にキツイことやらされるというか、チャレンジするというか、「なんなんだろう、これは」感が凄いシーンがなかなか強烈で、これも監督と前田敦子ならではのケミストリーだった。

 

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    中盤まではウズベキスタンの何気ない雑踏の隅や、言葉の通じない相手などへの恐怖が強調されていて、それは相手への無理解から発生するのだ、みたいな教科的内容で最終的には語られていたけど、にしては不穏過ぎるやろ、というトゥーマッチ感が凄くて、ジャンル映画的な楽しみはないものの、そういうアンバランスさがスパイスになっていて、ちゃんと黒沢映画を観る醍醐味もあった。とはいえ次はもっとジャンル映画寄りの作品が観たいとは思ったが。あと前田敦子が自身でカメラを持って撮影を始めた途端に饒舌かつ自信過剰になって暴走するくだりはカメラの暴力性と同時に監督自身を投影しているようで面白かったな。

 

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映画『旅のおわり世界のはじまり』予告編(6/14公開) - YouTube

 

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