yudutarouログ

Twitter(ID:yudutarou)で観た映画を確認しようとしたら非常に面倒だったので、メモになるつぶやき(主に映画とか音楽)を移植。なので2014年まで時系列バラバラ。

天気の子 (2019年・日)

 離島から家出して記録的な大雨が降り続く東京にやって来た高校生・帆高(醍醐虎汰朗)はフェリーで知り合った怪しげな中年・須賀(小栗旬)の元でオカルト雑誌のライターとして働きだす。そんな中、帆高は都会の片隅で少女・陽菜(森七菜)と出会う。小学生の弟・凪(吉柳咲良)と2人きりで暮らす陽菜は、「祈る」ことで空を晴れにできる不思議な能力を持っていて…。

原作・脚本・監督:新海誠作画監督・キャラクターデザイン:田村篤、キャラクターデザイン:田中将賀美術監督:滝口比呂志、音楽:RADWIMPS、制作:コミックス・ウェーブ・フィルム

 

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 無理矢理構築したような物語は新海作品なので通常運転だが、作品規模が膨らんだぶん歪さ増しで感じた。しかし作画、美術背景のクオリティが滅茶苦茶高く、最初から最後まで息をのむような画面が連続していて凄かった。雨の降り続く東京の風景やビニール傘から見える風景といった素晴らしい美術背景と作画だけでアニメ映画として十分楽しく、オタクへの目配せも忘れてないところも良かった。

 

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 雨が降り続いていることについて、劇中ではずっと天気が悪くて気分が塞ぐとか、子供が公園で遊べないとか、その程度の不満と不便で語られ、かつて住んでいた庭付きの一戸建てが水没してアパートに引っ越した老婦人は、昔の東京は海だったんだよ、みたいなことを語りつつわりと現状を受け入れているし、地下に事務所のあった須賀はビルの小綺麗なオフィスに越していて、しかもスタッフも増員して景気が良さそうだったり、街の風景もちょっとした水上都市みたいで、人々はバス代わりにボートで通勤通学していたりして、少しは不便かもしれないがそれなりに楽しくあるように見える。しかし貧富の差が拡大し続ける現実世界の状態から想像すれば水没して土地がますます狭まった東京に住み続けられるのはごく一部の富裕層で、ほとんどの庶民は住む場所を失い、新たな住処すら確保出来ない人々が溢れ出してスラムが立ち並ぶのは想像に難くなく、表層的に描かれている以上に事態は深刻で、監督はそれを充分踏まえた上で主人公に最後の選択をさせたのだろうと思った。それは映画の端々に若者の貧しさを垣間見せていることでも想像に難くない。夏休み映画としての軽やかさを持たせつつ、実はかなり重たいテーマを織り込ませた監督のチャレンジ精神とそれを成功させた手腕が凄かった。

 

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 あと、ヒロインの身体と世界がシンクロしていることを明確にしておかないと物語のクライマックスで彼女と世界を等価の選択肢として提示し難いし、そもそも主人公とヒロインを男女としてある程度近づけておかなければ最後の選択についての説得力も無くなってしまうという理由づけは出来るんだけど、自身の身体に起こってる変調を知らせる為とは言えそこまで脱ぐ必要ないやろうっていうヒロインの脱ぎっぷりや、花澤香菜佐倉綾音の使い方のただのアニオタ感覚とか、純粋に気持ち悪めのオタクマインドを保持したまま夏休み大作の監督に登りつめているのは間違いないと思われ、そこも立派だと思った。面白かったな。

 

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