小学6年生の女の子おっこ（小林星蘭）は交通事故で両親を亡くし、祖母の経営する旅館「春の屋」で若おかみ修業をすることに。旅館に古くから住み着いているユーレイ少年のウリ坊や美陽、小鬼の鈴鬼、ライバル旅館の跡取り娘で同級生の真月らに支えられながら、次々とやって来る個性的なお客様をもてなして成長していくのだった。
監督：高坂希太郎、原作：令丈ヒロ子、原作イラスト：亜沙美、脚本：吉田玲子、美術設定：矢内京子、作画監督：廣田俊輔、色彩設定：中内照美、美術監督：渡邊洋一、音楽：鈴木慶一、アニメーション制作：DLE、マッドハウス。
温泉街の風情と美しさを表現した美術、作画の素晴らしさ、その中に子供向けの可愛らしいキャラクターが違和感なく溶け込んで躍動するバランス感覚が見事で、叙情性とキャラクター映画が両立した作品だった。
物語も、明るく元気なおっこを見せつつ、その裏側に巨大な傷を抱えていたことを自身で認めるという、普通にやったら重苦しさと嘘臭さが際立つヘヴィな展開をリアリティとマンガ的表現を巧みに使い分けて軽やかな成長物語にして、しかも最終的に映画として綺麗な円環構造を為しているという離れ技をやってのけていて、素晴らしかった。
