ハリウッド黄金時代、落ち目の俳優リック(レオナルド・ディカプリオ)と彼をずっと支えてきた付き人でスタントマンのクリフ(ブラッド・ピット)、新進女優のシャロン・テート(マーゴット・ロビー)と、スパーン映画牧場にたむろするプッシーキャット(マーガレット・クアリー)、スクィーキー・フロム(ダコタ・ファニング)、テックス(オースティン・バトラー)らといったマンソン・ファミリーの面々の運命の交錯とハリウッドの光と影を描いた作品。
監督・脚本・製作:クエンティン・タランティーノ、製作:デヴィッド・ハイマン、シャノン・マッキントッシュ、撮影監督:ロバート・リチャードソン、プロダクションデザイナー:バーバラ・リング、編集:フレッド・ラスキン、コスチュームデザイナー:アリアンヌ・フィリップス、視覚効果デザイン:ジョン・ダイクストラ。
映画の暴力性を認めつつ弱者への暴力に映画で復讐を果たすというタランティーノの愛と怒りが詰まっているのに程よく弛緩して全篇が夢の中のようなユルさと美しさを持った傑作だった。ブラット・ピットが上半身裸で屋根の上に登ってる絵面だけで幸せな気分を味わえる至福の時間の流れ、ハリウッドのある種の黄金時代を描くのにブラッド・ピットとディカプリオというひょっとしたら最後のハリウッドスターを使ってみせたキャスティング、ブルース・ダーン演じるスパーンに会いに行く時のサスペンス演出、うーん、良さしか思いつかない。
まあ、ブルース・リー(演じるのはマイク・モー)の描き方は、そりゃないだろうと思いはしたが、まあ誰がどう演じても似てねー、もしくはモノマネかよ!というところに落ち着くだろうから、そこは冷静に見た。好意的に見れば神格化せずに人間として客観的に描写してるのかなという感じか。逆にスティーブ・マックィーンのダミアン・ルイスは印象的でおいしい役どころだったな。