ミステリー小説オタクだが全く推理が当たらない葉村(神木隆之介)は大学のミステリー愛好会の会長でホームズを自称する明智(中村倫也)から万年助手のワトソンとして振り回される日々を送っていた。そんなある日、謎の美人女子大生探偵、剣崎比留子(浜辺美波)からロックフェス研究会の合宿参加を持ちかけられる。部員に脅迫状が届くなど事件の匂いに惹かれて参加を決めた葉村たちが到着したのはペンション『紫湛荘』。そして曲者揃いの参加者たちと勃発する異常事態の中で殺人事件が発生し…。
監督:木村ひさし、原作:今村昌弘、脚本:蒔田光治、撮影:葛西誉仁、美術:林田裕至、佐久嶋依里、編集:富永孝、音楽:Tangerine House。
ネタバレ有り。
…とは言え、ミステリの謎解き部分以外の、ジャンル特定自体がネタバレに当たるのかどうか、実はよく分からなかったりもするのだけど。本作が宣伝においてゾンビを扱ったホラージャンルでもあることを隠してあるのは、以前の『ワールド・ウォーZ』の時のように、単純にゾンビだと客が来ないという思い込みもあるんじゃないかとも想像出来るが『カメラを止めるな!』や『ウォーキング・デッド』の人気もあってゾンビジャンルそのものの人気は高騰してるので、そんな事はないのかな。しかし観客の大半は小学生だったし、僕自身もゾンビ物だと知ってたら小六の娘を連れて観にきたりはしなかったので、理由はどうあれ気持ち悪さを隠した宣伝は功を奏してたのかも知れない。
で、映画の中身に関しては、ゾンビ物としてはやっぱりぬるくて、全年齢に対応する為に残酷描写はレントゲン写真風の映像で代替えしてあり、それはそれで苦肉の策として悪くなかったが、さすがにそればかりだと飽きてしまった。あとエレベーターが劇中の重要な仕掛けとして登場するわりには御大ロメロ版『ゾンビ』へのオマージュやリスペクトは欠落していたりして、もうちょっとゾンビ愛があってもいいんじゃないかとは思った。
しかし、そんなヌルさゆえに、ホラー苦手な子供も楽しめる全年齢対応のゾンビ映画になっていて、ドヤ顔感を抜いた堤幸彦的演出もテレビ的な軽さで観やすく、親娘で安心して楽しめる正月映画になっていた。個人的にも神木くんと浜辺美波がキュートで満足出来たし、塚地が『アイアムアヒーロー』に続いてまたゾンビになっていておかしかったりもしたので、満足、かな。